ブログ 「ごまめの歯軋り」

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原油価格が低下傾向なのに、株価も低下するとは?

2008年09月06日 | 時事問題
asahi.com 2008年9月6日1時46分
新興国にも株安の波 原油・為替の値動き変調
 5日の東京株式市場は、前日の米株価急落を受けて全面安になり、日経平均株価の下げ幅は一時390円を超えた。終値も3月以来の安値を記録した。世界経済の減速が欧州や新興国にも及び、各国で株安が進行。外国為替相場や原油先物価格にも変調が目立ち始めている。
 これまで、景気減速の原因の一つは原油高とみられてきた。しかし米原油先物価格は、ピークの7月の1バレル=145ドル台から、5日は一時105ドル台に下落。インフレ懸念が和らぎ、株価上昇の要因となってもおかしくはない。

株価の動きは分らぬものだが、誰が仕組んでいるのか
株価の動きを説明するとき、テレビや新聞では「・・ことから、上がったまたは下がった」という。しかしそんな日々の後付け理由は氷山の一角を説明しても、本当ではないような気がする。では明日のうごきを予測してごらん。それはそうとして、もう株価の低落傾向は長い間のトレンドである。確実に低下している。本当の原因は何だろうか。いま、ファンドは原油から何処へ流れるのだろうか。

信じられない企業ガバナビリティと企業倫理  こんな企業は退陣を!

2008年09月06日 | 時事問題
asahi.com 2008年9月6日6時52分
「現場の判断」「社長の指示」言い分対立 有害米転用
 「食の安全」がまた脅かされた。中毒事件を起こした中国製冷凍ギョーザに混入していた農薬成分メタミドホスや発がん性の高いカビ毒で汚れていたコメの食材への転用問題。本社側が「現場の判断だ」というのに対し、「社長の指示だった。良心の呵責(か・しゃく)があった」と工場側。言い分は真っ向から食い違っている。

本社と現場の対立はウソで、個人に責任を転嫁する企業の責任逃れ 恥じるべき企業倫理
こんなリスクを現場の判断でやるわけはなく、万が一そうであれば企業のガバナビリティがなかったということだ。信じられません。むかし中国で軍部が独走したことを大本営は知りませんでしたというのでは世の中は通じません。現場に責任を転嫁する恥づべき経営体質は戦前の軍部独裁時代と変わりない。日本のなかには進化していない人もいる。このような企業は即刻解散していただきたい。

経済問題 春山昇華著 「サブプライム問題とは何かーアメリカ帝国の終焉」 宝島社新書

2008年09月06日 | 書評
米国の住宅バブル、略奪的貸付、証券化金融技術、世界資本市場からサブプライム問題を解明 第11回
第4章 住宅ローン債権の証券化 (2)

 サブプライムローン問題を金融界から見ると、証券化と云う手法の魔力を考える必要がある。「将来受け取れる配当の流が予測できるものは何でも証券化できる」といわれている。証券化のインパクトは「所有と経営の分離」である。不動産投資信託(リート)もそうだ。ファンドの投資家は不動産経営をする必要がない。七面倒くさい経営を避けて、うまい汁だけを吸いたいと云う欲望は否定できない。住宅ローンもそうであった。住宅ローンは利率が高い。住宅ローン専門金融会社のノーハウがなくともリターンを享受したい。銀行は住宅ローンを7%で貸し出したら、銀行は6.5%の利回りで証券会社に売却する。証券会社ファンドは投資家に6%の利回りで販売すると云う仕組みである事は先に述べた。銀行の債務飛ばし手法は手形の代わりにCPと云う短期運転資金調達法を用いるABCPであった。特別目的会社SPCと云う作って売掛け金債務を証券化し、投資家から資金を得る。銀行は自分の保有する資産をSPCに移す。安い金利でABCPによる資金調達が出来れば、ローン金利と調達金利の差額が銀行に転がりこむ。いわゆる飛ばしである。今回ABCPが金融危機の最終的な引き金になったのは、ABCPの担保にサブプライムローンが含まれていたからだ。銀行は資金調達の手段をABCPに依存していた。その調達手段がサブプライムローン問題のあおりで使えなくなると、銀行自体が資金繰りに窮するのである。銀行救済のためにFRBとECBの無制限の資金供給が実施されたのである。

医療問題 真野俊樹著 「入門 医療経済学」 中公新書

2008年09月06日 | 書評
医療制度を考える上で、医療経済学的視点は欠かせない 第22回
医療のプレーヤーとその行動 (1)

 公共選択論という経済学では行動主体をプレーヤーと呼ぶ。医療サービスでは医療の受けて(患者)、提供者(医療機関、医師)、お金の出し手(保険者)、仕組みの作り手(行政)と分けてミクロ経済学の視点から見てゆく。患者と医師の間の「情報の非対象性」や「不確実性」は生活習慣病が主流の現代ではかなり改善されてきたようだ。しかし高度医学の専門性の壁が高く情報の非対称性があるときは、依頼人(プリンシパル 患者)が代理人(エージェント)に判断や取引を依頼するモデルをプリンシパル・エージェント理論という。普通の医療で弁護士のような仲介人を立てることはないが、生体移植ではこのエージェントが活躍するのは新聞紙上でよく耳にする。かかりつけの医者が専門医療機関を斡旋する(紹介)場合もこれに当たる。この場合にはエージェントによって遮られてさらに見通しが悪くなり、交渉を元に戻すことが難しいことが起きる。患者とかかりつけの医師のように「コミットメント関係」という信頼関係に基づく共同体意識を持つことである。患者と医師の関係がバラバラになると信頼関係がなくなって医療過誤訴訟問題へ発展する。3分診療が問題になるが、医師が間違いさえしなければ効率的ともいえる。田舎の診療所のように人情味濃く付き合うことは、現在の医師には過重労働となる。過疎地においては医師は地域の共有財産である。だから使いすぎたり苛酷な労働を強いては、財産の損失につながりかねない。共同体の人々が協力して医師と云う財産を大事にしなければいけないという「共有地の悲劇」論もある。

環境問題 丸山茂徳著 「科学者の9割は地球温暖化炭酸ガス犯人説はウソだと知っている」 宝島社新書

2008年09月06日 | 書評
地球は寒冷期を迎え、人口爆発で石油は枯渇する事態こそ文明の最大危機だ 第13回

第1章「地球温暖化」炭酸ガス犯人説のウソと「寒冷化」の予兆 (9)

 地球の気温に影響を与えるさまざまな要素を、影響度の大きいと予測される順に並べると、
①太陽の活動(入射強度、太陽風と宇宙線と雲)
②地久磁場(核の対流)
③火山活動(マントルの対流)
④ミランコビッチの周期(公転軌道の揺らぎ)
⑤温室効果ガス(炭酸ガス、水蒸気)

 ⑤の温室効果ガスであるが、炭酸ガスは1ppm高まって気温は0.004℃上昇するのである。以上結果を総合して東京工業大学「理学研究流動機構」がおこなった21世紀の気温予測では、ICPPの予測とは大きく異なリ気温は低下する結果となった。2035年までは気温は低下し1900年当時の気温に戻る。2100年にはシナリオによって2℃から4.5℃気温が高まるとするICPPの予測が正しいか、寒冷化に向う「理学研究流動機構」の予測が正しいかは、5-10年後には決着がでる。異常気象をもたらす、インド洋で温められた高温海水が東へ移動する「エルニーニョ」、太平洋で温められた高温海水が西へ移動する「ラニャーニャ」は、地球温暖化減少ではない。また太陽活動の11年周期は短期的には気温変化とはタイムラグを持つことの二つは明確に識別しておく事が議論の混乱を防ぐ事になるだろう。温暖化は農業の発展と文明の興隆をもたらしてきた。テレビで流されている地球温暖化恐怖映像はすべて作られたデマである。寒冷化こそ食糧危機と文明の衰退と大動乱をもたらしたのだ。恐るべきは寒冷化であるというのが本書の結論である。