ブログ 「ごまめの歯軋り」

読書子のための、政治・経済・社会・文化・科学・生命の議論の場

原油生産安定 原油価格低下へ向う

2008年09月10日 | 時事問題
asahi.com 2008年9月10日3時1分
NY原油、一時5カ月ぶり103ドル台
 【ニューヨーク=丸石伸一】9日のニューヨーク商業取引所の原油市場は、国際指標となる米国産WTI原油の先物価格が一時、前日終値より2ドル超安い1バレル=103.71ドルまで下げ、4月初め以来5カ月ぶりの安値をつけた。
世界的な景気減速で原油需要の減少が警戒されているが、石油輸出国機構(OPEC)は9日開く総会で減産を見送るとの観測が出ていることから、需給が緩むとみた投資家の売りが優勢になった。

asahi.com 2008年9月9日22時35分
OPEC生産量、現状目標を支持 サウジ石油相
 【ウィーン=尾形聡彦】石油輸出国機構(OPEC)の9日の総会を前に、サウジアラビアのヌアイミ石油相が現在の原油の需給状況について「バランスがとれている。原油在庫も健全な水準」と肯定的な発言をした、とロイター通信が報じた。最大の産油国のサウジはOPECの盟主的存在であり、現状の生産目標は変更されない、との観測が強まった。総会は9日午後9時(日本時間10日午前4時)から開かれる予定だ。

ヘッジファンド(日本の金融機関も融資している)の危機的な吊り上げは、ひとまず一段落。石油価格や物価は鎮静化にむかう。インフレを煽る理由はなくなった。


阪神タイーガース マジックランプは毎日灯たり消えたり

2008年09月10日 | 時事問題

asahi.com 2008年9月10日3時0分
矢野、劇的サヨナラ弾 ここ一番、勝負強さ(9日、阪神3―2ヤクルト)
 高々と舞った打球が中堅右のスタンドに飛び込むと、矢野は強く右手を突き上げた。03年9月以来となるサヨナラアーチに、39歳は満面の笑みで歓喜の輪に飛び込んだ。

経済問題 神田秀樹著 「会社法入門」 岩波新書

2008年09月10日 | 書評
21世紀の「会社法」はIT革命と資本市場への対応をめざすもの 第2回
序 (2)

 2006年5月に施行された「会社法」の背景と内容のポイントを解説するものであると序文に書かれている。1990年以降のバブル崩壊後の「失われた十年」の間に不良債権処理、デフレ経済、株価低迷、金融ビッグバン、企業買収を経験した日本企業の課題は深刻で、企業法制と株式市場法制の抜本的な改革が必要であった。何のための改革かといえば「日本企業が今後収益を上げてゆくことをサポートするため」であると云うのが本書の見解である。日本の眠っている預貯金は1400兆円とも言われても、なお株式市場への国民の信頼は薄い。それは「損失補てん」とか「飛ばし」と云う姑息な手段で一般投資者の信頼を裏切ってきたからである。「証券取引法」の改革も必要であり。会社法だけでなく会社を取り巻く総合的な環境の改革が同時になされないと効果が出てこないものである。2000年よりようやく当面の緊急課題を脱した日本は会社法をめぐる法整備に取り掛かった。その成果が全面的に「会社法」に結実しているとは言い難いが、今後のグローバル化やIT化の課題も取り込んで更なる法整備が必要である。


政治問題 砂田一郎著 「アメリカ大統領の権力」 中公新書

2008年09月10日 | 書評
クリントン、ブッシュJrの大統領とリーダーシップの低下 第2回
序(2)

 砂田一郎氏の経歴は、1960年早稲田大学政治経済学部政治学科卒後毎日新聞社に勤務。 フルブライト交換留学で渡米、1973年カリフォルニア大学バークレー校大学院修士課程修了(M.A,、政治学)。 同年毎日新聞社を退職、東海大学政治経済学部教授などを経て1995年から2007年3月まで学習院大学法学部教授を務めた。専攻はアメリカ政治学、比較政治学であるとされる。著者の立場というか、本書を書くに至った考えの基本は、本書のあとがきに述べられているように、「道理なきイラク戦争への道を突き進むブッシュJrの行動を目の前にすると、このイラクへの先制攻撃も含めてブッシュ政権の政治全体がアメリカ政治本来の姿から逸脱していると私は考える」と明確なブッシュJr批判である。そのアンチテーゼ(別のもうひとつのアメリカ)として、クリントン前大統領と比較するようだ。学者にしてはこれほど自分の政治的見解を明確にしてから、米国大統領制という本を書かれるのは、痛快であり分りやすい。このような大統領に付き合わされた(show your flagと脅かされた)小泉前々首相や安倍前首相の行動の裏も知れて変に納得できる。

文藝散歩  五味文彦著 「源義経」 岩波新書

2008年09月10日 | 書評
源平合戦の英雄「源義経」像を文献・史料から探る 第1回
序(1)

 本書の目的の一つは源義経を鎌倉初期の政治史の中で捉えることだという。決して悲劇の英雄像と云う側面だけでは全体像はつかめない。古くは古事記に書かれた「ヤマトタケル」の人間造型にみられる悲劇的英雄像「白鳥の歌」がある。その対比で義経を鎌倉時代武家階級の創生期の悲劇的英雄と捉えることができる。平家を滅亡させた功績は顕著で争えない。しかし義経の意義はそれには留まらない。それと同時に関東武士団が苦手であった畿内の支配に先鞭を付けたことである。北条時政や一条能保の京都守護代、六波羅探題は実に江戸時代まで継承されるのである。源平合戦の勝利に貢献した義仲と義経に共通な問題点は後から付けられた挿話かもしれない。関東武士団の惣領北条家の陰謀と見ることが出来る。鎌倉幕府の成立は天皇家の権威と武家の惣領たる源頼朝の貴種性(カリスマ性)と北条家を中心とする関東武士団の武力のトライアングルで出来上がった。源頼朝は関東武士団の掌中にあった婿殿である。源頼朝に異を唱える物は排除された。義仲、義経は勿論、素直に従った兄の範頼も曽我事件を口実に葬られた。兄の全成も退けられた。北条家が強力になると、草創期の御家人や源頼朝の遺児さえもすべて葬られた。源氏の名さえ不要になったのである。そうして鎌倉幕府は北条家の単一支配に変質(ようやくなったというべきか)した。天皇家における藤原氏の単一支配のようになった。