ブログ 「ごまめの歯軋り」

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三笠フーズ 事故米食品原料流用問題  ついに大手ビール会社へ波及

2008年09月11日 | 時事問題
asahi.com 2008年9月11日12時11分
2008年9月11日12時11分
 アサヒビール(東京)は11日、芋焼酎の一部商品の原料に三笠フーズが不正転売した事故米が含まれていたとして、芋焼酎の「かのか」など9商品の約65万本を自主回収すると発表した。回収費用と廃棄による損失は約15億円に上るとしている。 同社は三笠フーズが事故米を出荷していた鹿児島県の西酒造に焼酎の原酒の製造を委託。西酒造が原料に使用した米の中に、殺虫剤成分のアセタミプリドが検出されたベトナム産のうるち米が混ざっていたという。

農水省の事故米処理に問題の根源 農水省の責任と零細焼酎業者の損害補償問題へ
勿論最大の犯罪は、三笠フーズの工業用原料米を食品用へ転売した事である。農水省が貯蔵する莫大な事故米を捨て値同然で買い取った三笠フーズが焼酎など醸造会社に原料米として転売し利ざやを稼いだ事である。許せない背信行為であるので、三笠フーズの財産保全を早急におこなって、取り壊すべきである。ただこの事故米は、農薬漬けの東南アジア米を援助のためなのか何時までも買い取っている農水省の政策にも大問題がある。中国の毒餃子事件でも明らかになったが、後進国では虫害を防ぐために大量の薬を使っていることは、昔日本の冷害で米の緊急輸入をした際に農水省もわかっていたはずである。農水省は分っていて農薬汚染事故米をこっそりとメーカーに工業用に仕えないかと打診していた。結局捨て値で買った三笠フーズが利ざやを抜いて食品用に転売したのだろう。原因を作った農水省は無罪であるとは決っしていえない。

政治問題 砂田一郎著 「アメリカ大統領の権力」  中公新書

2008年09月11日 | 書評
クリントン、ブッシュJr大統領とリーダーシップの低下 第3回
大統領制 と議院内閣制(1 )

 アメリカの大統領制に入る前に、各国の政治制度を権力の集中と分散と言う観点で比較する。飯尾潤著 「日本の統治構造」ー官僚内閣制から議院内閣制へ-を参考にした。なお日本は云うまでもなく議院内閣制である。アメリカが第二次世界大戦後に日本国憲法制定において、大統領制を推薦せずにイギリス式の議院内閣制を定めたのは何故だろう。
イギリス:議院内閣制
イギリスは議院内閣制の発祥地である。歴史的には絶対君主制から議会が次第に実権を奪っていったという側面が重要である。1742年二大政党政の成立で議会の多数となった政党が行政権を手に入れ議院内閣制が成立した。19世紀には二大政党制を前提に次第に選挙が拡大し、議会は民主政治の舞台として機能するようになった。1910年下院は上院に対する優位を確立した。同時に総選挙で政党と首相候補、政策プログラム(マニフェスト)の三者が選択されるというイギリス型の選挙制度が定着した。イギリスでは議会の多数派政党が組織する内閣の強力な権力集中を認める政治的緊張を持った仕組みである。政府提出法案は多数決で成立することが当たり前である。このモデルの議院内閣制はオーストラリア、カナダ、ニュージランドなどのかっての英連邦諸国で広まった。

経済問題  神田秀樹著 「会社法入門」 岩波新書

2008年09月11日 | 書評
21世紀の「会社法」はIT革命と資本市場への対応をめざすもの 第3回
新「会社法」をめぐる環境 (1)
 
 株式会社は1600年イギリスの東インド会社に始まるとされている。19世紀から20世紀にかけて世界中に普及し、いまや株式取引所や生命保険会社まで株式会社形態をとり、さらに医療、福祉、教育、農業、労働分野まで広がりつつあります。株式会社の核となる特質は世界中で共通であり、つぎの5項目が重要である。
①出資者による所有(利益の帰属者)
②法人格(二重の所有関係)
③出資者の有限責任(出資額だけの責任)
④出資者と業務執行者との分離(所有と経営者の制度上の分離)
⑤出資持分の譲渡性(株式と云う有価証券化)

 最も抽象的な法人格とは、法人としての会社は会社資産に対して人としての所有を主張し、人である株主は会社に対しては物として所有を主張するのである。法人は人でありモノである。会社をめぐる法律には民法、商法、倒産処理法、刑法、労働法、会社法、消費者契約法、独占禁止法、金融証券取引法、その他というようにさまざまな法律が存在し、「会社法」はそのうちのひとつに過ぎない。簡単に云うと会社法は株主がお金をだし、それに基づいて会社の運営を決め、会社が活動すると云う面についてルールを定めているのである。日本には300万社以上の株式会社が存在し、証券取引所上場会社は約3800社で資本金5億円以上の大会社は約11000社である。新会社法では合名会社、合資会社、合同会社は「持分会社」に分類される。面白い事に会社法の上位にある民法、商法は2005年までは「漢字カナ文」であった。民法の現代語化は2004年に実現したが現代化はまだ出来ていない。商法は内容が膨大であるため商法から会社法だけ取り出して、2000年以降現代語化と現代化が同時に進んで今回の会社法の改正になったのである。現代語化と現代化は別物であるが、会社法だけは偶然に2005年に重なって完成した。日本の商法は1890年ドイツ法系として出発しめまぐるしく変わってきたが、ファイナンス(企業金融)は規制緩和の方向で、ガバナンス(企業監視)は規制強化から多様化の方向で、リオーガニゼーション(企業再編)は規制緩和で進んだ。

文藝散歩 五味文彦著 「源義経」 岩波新書

2008年09月11日 | 書評
源平合戦の英雄「源義経」像を文献・史料から探る  第2回
序 (2)

 徒然草の第二百二十六段 「後鳥羽院の御時、信濃前司行長、稽古の誉ありけるが、楽府の御議論の番に召されて・・・・」 に平家物語の作者を下野守(栃木)の中山行長とする説を述べている。行長は後鳥羽院の時、漢詩の議論で唐の太宗の七徳の舞の二つを忘れ、恥をかいてから学問を捨て隠棲したという。行長は平家物語を作って、盲目の琵琶僧(生仏)に平家物語を語らせたという平家物語の成立事情をかたる文献学上、貴重な発言がある。そして「九郎判官のことは委しく知りて書き載せたり、蒲冠者(源範頼)のことはよく知られざりけるにや」と記しており、兼好は早くから義経に関心を寄せていたことがわかる。それ以来義経のことを書くのに文献がなくて困るのではなく、多すぎて困るのである。義経像が色々脚色されて流布されている。しかし幼年期の事を記す史料は少ない。義経物語は父の仇討ちと云う側面では「曽我物語」とほぼ同じである。もうひとつは貴種の人が地方へ下って苦労し、都に戻って本懐を遂げるという貴種流離譚の側面では、説教節の「小栗判官」と同じである。この二つの側面を義経物語は持つのである。

自作漢詩 「初秋晩景」

2008年09月11日 | 漢詩・自由詩


蝉聲驚冷夕陽     蝉聲冷に驚き 夕陽沈む

蟋蟀啾啾秋未     蟋蟀啾啾 秋未だ深からず

珠露涼風催晩景     珠露涼風 晩景を催し
     
銀河雁影動帰     銀河雁影 帰心を動かす

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(赤い字は韻:十二侵 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)