ブログ 「ごまめの歯軋り」

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経済問題 春山昇華著 「サブプライム問題とは何かーアメリカ帝国の終焉」 宝島社新書

2008年09月06日 | 書評
米国の住宅バブル、略奪的貸付、証券化金融技術、世界資本市場からサブプライム問題を解明 第11回
第4章 住宅ローン債権の証券化 (2)

 サブプライムローン問題を金融界から見ると、証券化と云う手法の魔力を考える必要がある。「将来受け取れる配当の流が予測できるものは何でも証券化できる」といわれている。証券化のインパクトは「所有と経営の分離」である。不動産投資信託(リート)もそうだ。ファンドの投資家は不動産経営をする必要がない。七面倒くさい経営を避けて、うまい汁だけを吸いたいと云う欲望は否定できない。住宅ローンもそうであった。住宅ローンは利率が高い。住宅ローン専門金融会社のノーハウがなくともリターンを享受したい。銀行は住宅ローンを7%で貸し出したら、銀行は6.5%の利回りで証券会社に売却する。証券会社ファンドは投資家に6%の利回りで販売すると云う仕組みである事は先に述べた。銀行の債務飛ばし手法は手形の代わりにCPと云う短期運転資金調達法を用いるABCPであった。特別目的会社SPCと云う作って売掛け金債務を証券化し、投資家から資金を得る。銀行は自分の保有する資産をSPCに移す。安い金利でABCPによる資金調達が出来れば、ローン金利と調達金利の差額が銀行に転がりこむ。いわゆる飛ばしである。今回ABCPが金融危機の最終的な引き金になったのは、ABCPの担保にサブプライムローンが含まれていたからだ。銀行は資金調達の手段をABCPに依存していた。その調達手段がサブプライムローン問題のあおりで使えなくなると、銀行自体が資金繰りに窮するのである。銀行救済のためにFRBとECBの無制限の資金供給が実施されたのである。


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