ブログ 「ごまめの歯軋り」

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千年に一度の災害想定でどう対処するの? 国土交通省の陰謀!

2008年09月09日 | 時事問題
asahi.com 2008年9月9日1時39分
千年に1度の洪水…利根川1万人死者 中央防災会議想定 
 中央防災会議の「大規模水害対策に関する専門調査会」は8日、利根川と荒川で千年に1度の割合で起こりうる大洪水の被害想定をまとめた。利根川では最悪で1万1千人、荒川では4500人が死亡するという。 地球規模で気候が今後大きく変動する可能性があることも考え、より大きな災害に備えることにした。

恐怖物語はもうたくさん。巨大な堤防と排水設備で儲ける人は誰?
扇動的災害論は地球温暖化の海水位上昇と連動して、日本を堤防で守ろうと云うようなものか。オランダではあるまいし、被害妄想もここまでくると滑稽だ。国土交通省と土建業者の起死回生策とした新たな恐怖物語をでっち上げようとするものだ。夢、脅かしに屈してはいけない。笑い飛ばそう。

経済問題 神田秀樹著 「会社法入門」 岩波新書

2008年09月09日 | 書評
21世紀の「会社法」はIT革命と資本市場への対応をめざすもの 第1回
序(1)

 著者の神田秀樹氏は東京大学法学政治研究科教授で専攻は商法、証券法、金融法であると書いてある。会社法に専門外の私が興味を抱いたのは2005年のライブドアーのニッポン放送株をめぐってフジテレビの間で繰り広げた新株予約券発行をめぐるバトルがきっかけである。この騒動でニッポン放送株は急騰し、フジテレビはライブドアーの有するニッポン放送株を高い株価で買うことで示談が成立し、ライブドアーのホリエモンは数百億の利益を得たといわれる。この資金はさる大手の証券会社や投資ファンドの提供によるものである。株式会社が資本の仕掛けた攻勢を受けて大損を出すことは日本の企業を衰退させるものではないかと心配した。そこで多少は株式会社を取り巻く環境と法の状況を勉強しておかないと、事態の本質も分らない。神田秀樹著 「会社法入門」はそのようなニーズにこたえる素人向けの入門書と云うように感じられた。しかし入門書と書いてはあるが、この本を読んでみて気付いたことは、入門書レベルではないと云うことです。これから勉強すべき事が示されており、紙面の都合で委しく説明できないだけの事でした。理解と考察に必要な分野の項目が網羅されており、次につながる手続きが明示されている。中でも本書の第二章株式会社の機関と第三章株式会社の資金調達は最も充実しており、理解にとって必要な事はすべて書かれている。何十年も会社にいた私にとって、読めばそのまま頭に入ってくるように書かれている。あとは素人の私には理解できない事も多いのですが、よく分からなかった事は将来に取っておきましょう。

政治問題 砂田一郎著 「アメリカ大統領の権力」 中公新書

2008年09月09日 | 書評
クリントン、ブッシュJr大統領とリーダーシップの低下 第1回
序(1)

 この書を読んだのは、2008年2月と云う米国大統領予備選挙が開始され、連日テレビで民主党のクリントンとオバマの選挙状況が伝えられる雰囲気の中で、アメリカの大統領制を考えるためであった。先の2006年の中間選挙結果で民主党が議会で多数党になって(日本で云うねじれ国会みたいな状況)、サブプライムローン問題が引き金となった米国経済の急速な不況のなかで、戦争屋ブッシュJrの影が薄れていった。共和党の予備選挙を報じる報道は少なく、まるで民主党内の大統領候補指名の闘いが即ち米国大統領選であるかに様な錯覚に襲われる。

 2001年の9.11テロ発生以来、世界の人々は否応無にアメリカ大統領の権力が自分達の生活や安全に重大な影響を持つことを知らされた。前大統領クリントンは多国間主義外交であったのに、ブッシュJr大統領になると劇的な一国主義と云う軍事的外交的政策の転換がなされた。政権が反対党になったといってもなだらかな連続性があった。ブッシュJrは一切を無視した。この二人の大統領の違いを歴史的文脈で見る必要がある。本書は今日の大統領の権力が極めて巨大だという見方はしない。それは戦時大統領制の姿は一時的であるからだ。戦争が終わったあとのブッシュJrの姿の小さいこと。帝王的大統領制といわれたジョンソン・ニクソンに較べると、今日の大統領制は弱体化している。国家元首としての権威の低落傾向は世論調査の支持率の低下に顕著である。大統領は国家統合の要というより、権力の機能(歯車)であると割り切っている人が多くなった。アメリカ人の大統領に望む姿は、一つは儀式的・象徴的国家元首の役割と、二つに行政府の長(首相的)としての役割、三つめに軍の総司令官としての役割である。この三つの役割を一身に体現したのがルーズベルト大統領であったと著者はいう。そういう大統領像からするとクリントン、ブッシュJrは地に落ちた神であった。

医療問題 真野俊樹著 「入門 医療経済学」 中公新書

2008年09月09日 | 書評
医療制度を考える上で、医療経済学的視点は欠かせない 第25回 最終回
医療のプレーヤーとその行動 (4)

 医療管掌行政は厚生労働省である。厚労省の動機(モラル)は国民によい治療を提供する、医療費を下げることに尽きる。厚労省の意志は数次の医療法改正に現れる。1997年の第3次医療改正で総合病院から地域全体での総合医療に変わった。2001年の第4次医療法改正では、地域の連携強化と病院の機能分化が主張された。今後の行政の課題は、診療報酬体系の改革、急性期入院に対してはDPC の導入、慢性期入院に対しては包括支払い方式の検討、外来集中の排除のほか、小児科・夜間休日診療、調剤報酬・診療報酬の見直し、在宅医療の課題は山積している。中央社会保険医療協議会(中医協)の改組、日本医師会、日本製薬工業協会といった業界団体と健康保険組合連合会の利害調整も重要な課題である。行政は制度改革に当たって、マイケル・スペンスの提唱した「シグナル」と「コミットメント」という情報提供と約束が必要である。例えば医療費自己負担は3割以上にはしないという政府のコミットメント(健康保険法改正の附則で述べた)が必要である。青空的な消費税率値上げは国民は納得しない。コミットメントの伴わないシグナルはもはや国民は信用しない。

自作漢詩 「秋月夜」

2008年09月09日 | 漢詩・自由詩


風収東嶺暮雲     風収り東嶺に 暮雲稠し

日落西江万里     日落ち西江 万里流る

千樹疎疎秋淡淡     千樹疎疎として 秋淡淡たり  
   
三更璧月夜啾     三更璧月 夜啾啾たり

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(赤い字は韻:十一尤 七言絶句平起式  平音は○、仄音は●、韻は◎)
(平仄規則は2・4不同、2・6対、1・3・5不論、4字目孤平不許、下三連不許、同字相侵)