できることを、できる人が、できるかたちで

京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

関西テレビの番組「みんなの学校」を見て

2013-05-06 11:13:59 | ニュース
http://digital.asahi.com/area/osaka/articles/OSK201304300151.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_OSK201304300151
(朝日新聞デジタル2013年5月1日付け:みんなの学校、密着1年 大阪の関西テレビ、6日放送)

http://www.ktv.jp/document/index.html
(関西テレビ:ザ・ドキュメント みんなの学校 2013年5月5日 24時25分~放送)

この「みんなの学校」の録画、先ほど我が家で、カーテンレールの付け替えをする前にひととおり見ました。
たぶん「ケアする学校」という言葉がぴったりくるんじゃないですかね、この小学校の取り組みって。印象的だったのは、日常生活のなかでのささいな子どもどうしのトラブルに、校長以下の教職員がていねいに向き合っているということ。それと、障害のある子どもや家庭環境にさまざまな課題のある子どもを、まずは大事に学校で抱えていくということ。この2点でした。そう考えると、「保育」あるいは「福祉」と「教育」との相互浸透みたいな切り口から、この学校の取り組みを考えていったほうがいいのかな・・・という気もしています。
また、子どもの数に対して配置されてる教職員数も、比較的多めに居るような印象を画面上からは受けました。そのことで、学級担任がひとりで課題のある子どもを抱え込まずに済んでいること、ある教員の叱り方の問題などに対して、校長や別の教員がきっちり「それはちがうんじゃないか?」と指摘するなどの対応も可能になっています。このあたりの学校の条件整備がどんな風に行われているのか、知りたいところです。あと、定期的に気になる子どもについて、教員間での意見交換や連絡調整もしていましたしね。
それともうひとつが、こういう学校の取り組みを可能にしているのは、やはり校長が課題のあるひとりひとりの子どもの顔と名前を覚えられるくらい、学校が小規模だ、ということもあるのではないでしょうか。全校児童あつめて「道徳の時間」をもって、そこで校長から今の子どもたちの生活上の課題を取り上げて、話をすることだって可能ですから。
とすれば、大阪市内で今後「学校選択制」を実施したり、「学校統廃合」を無理にすすめたら、この学校のよさ、なくなりかねませんね。
あと、「商売繁盛やのに、給料下がるなあ」と、番組の終わりのほうで校長がつぶやいた場面。これも印象的ですね。
正直なところ、「小学校での英語学習」だとか「学力向上のための特別な補習」だとか、あるいは「みんなで●●検定の何級合格を目指そう」とか、何か華々しく学校外の人々をひきつけるような、そんな「目玉商品」みたいな実践は、この学校にはありません。
しかし、日々の子どもたちどうし、子どもと教職員+学校に出入りする地域の人々のかかわりをていねいにつくっていこうという、そういう姿勢のうかがえる学校でした。
きっと、今すすめられている教育改革のベクトルとは、大きく向きの異なる学校。また、大津市の中2いじめ自殺の調査報告書を念頭に番組をみると、「きっといじめを防ぐための学校づくりって、こういう条件整備と取り組みの両面から入っていく必要があるんだろうなあ」って感じました。

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