文科省、いじめ自殺対策に専門官 派遣で早期対応へ、18年度要求
(北海道新聞(どうしん)電子版、2017年8月28日)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/128503
「なにもしない、なにも考えていない」というよりはましだ、ということを前提にしつつも・・・。
これまでいくつかのいじめや自殺・事故の重大事態で、遺族・家族と学校・教育行政の橋渡し役的な仕事や、調査員等の経験をしてきた私の側から、このいじめ自殺対策「専門官」設置の文科省の構想について、あえて次の3点、述べておきます。
<その1>
私が思うに、自分でいうのもなんですけど・・・。
「住友剛さんのようなキャラで、住友剛さんのような遺族対応の経験・知識と、学校現場や教育行政への対応力があり、なおかつ、ことと次第によってはマスコミにでてコメントもできるような人」であれば、この専門官、うまくいくと思います。
でも・・・。
「いま、そんな人、住友剛さん以外、どこに居りますの?」ですわ(居ったら私、どれだけ楽か・・・)。
文科省は何かと「外部人材の活用」とかいうてますけど、このケースについては、「そもそも、文科省内にも外部にも、こんなこと引き受けられる人、居るの?」ですよ。
まあ、せいぜい、「今からでも住友剛さんに弟子入りして、5年くらい鍛えてもらえ」というておきます。
文科省は「簡単だ」と思っているのかもしれませんが、例の「ハの字」の構図を前にして、遺族と学校・行政側の双方から信頼を得て、双方が「この人の言うことやったら・・・」と納得して、「まずはここで合意して、こんな風に動いていきましょう」という流れをつくるのは、けっこうたいへんなんですよ。
<その2>
その1のような観点がなければ、この専門官、確実に、今まで文科省の副大臣や政務官などが、いじめの重大事態で現場に派遣されたときに果たしてきた役割を、そのまんま、役人として担う形になるでしょうね。
つまり専門官が担うのは、「遺族の要望を聴きつつ、文科省にだけは遺族からの批判の矢が飛んでこない」ように学校現場や教育行政を「指導」するお仕事になりそうです。
でも、それってある意味、文科省が持っている「行政指導」の諸権限を使って、自分たちの新たな「保身」の道を切り拓くわけですからね。それでいいのでしょうか?
<その3>
実際にこの専門官が決まったら、全国学校事故・事件を語る会やその他の団体の集会に呼びだして、いろいろ質問攻めにして、それに耐えられるかどうか、テストしたほうがよさそうですね。
もしも、それに耐えられないような人なら「あかん、遺族対応の場面では耐えられない、現場にでても身がもたんで、この人」ということで。
まあ、そういうことで、少なくとも遺族側からの信頼をこの専門官が勝ち取りたいと思うんだったら、最低でも「くりかえし当事者団体に足はこんで、何度でも話を聴け」ってことですわ。
だからこそ「専門官は住友に弟子入りして、5年くらい修業しろ」ってことで・・・。