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京都精華大学教員・住友剛のブログ。
関西圏中心に、教育や子ども・若者に関する情報発信を主に行います。

なぜコミュニティの単位が小学校区なのか?

2007-05-04 19:34:05 | 受験・学校

今日、もうひとつの「日記帳」ブログに地元の「だんじり」の話を書きましたが、私が生まれ育ったのは、神戸市東灘区深江地区です。また、この深江地区の「まちづくり協議会」のエリアは、同協議会のホームページ(http://www.kcc.zaq.ne.jp/fukae/)にある地図を手がかりにして言えば、神戸市立の東灘小学校と本庄小学校の両方の校区にまたがります。そして、この深江地区には、さらに小さい区分で地区の自治会があり、あるいはマンション・団地ごとに自治会が形成されています。ついでにいえば、「だんじり」は、今日、深江地区内に掲示されていた巡回ルートの表を見る限り、ほぼこの「まちづくり協議会」のエリアをカバーする形でまわっているようです。

この深江地区の「まちづくり協議会」の範囲がどういういきさつでそう決まったのか、私は知りませんし、もしかしたらこの「だんじり」のエリアで決めたのかもしれません。ただ、少なくとも、今の深江地区は地元住民による「まちづくり協議会」レベルで考えれば、「地域コミュニティ形成」というものを、「小学校区」単位で考えるという道を選んでいない、ということは確かです。むしろ、もう少し広いエリアをとって、その範囲内にある自治会や住民のボランティア組織などがかかわる形で、自分たちの暮らす街のあり方を考えている、といえばいいでしょうか。もちろん、それはこの「まちづくり協議会」のとりくみがうまくいっているかどうかとは、また別の問題です。

なぜ今日、深江地区の「まちづくり協議会」の話を書いたのかというと、もちろん、今日「だんじり」を見てきたということもあります。と同時に、このところ大阪市で進められている教育関連の施策において、何かにつけて「コミュニティ」の範囲を「小学校区」という単位でとらえる傾向が見られるからです。あるいは、今日、読んでいたある自治体文化政策関係の文献においても、文化振興施策を考える上での基礎的なエリアを小学校区においていました。

たとえば、その試み自体の是非は今は問いませんが、大阪市では現在、「小学校区教育協議会(はぐくみネット)」という取組みを実施しています。この「はぐくみネット」は、学校と地域社会の人々との連携を図っていくことなどを考えての取組みなのですが、でも、なぜ「小学校区」なのでしょうか? あるいは、大阪市の生涯学習ルーム事業についても、小学校の教室開放が中心になっていますよね。

これに対して、同じ大阪市でも他の部局の施策では、何らかの施策を実施するにあたっての対象地域を小学校区だけとは考えていないようです。例えば大阪市健康福祉局の介護予防に向けた取組みのなかには、中学校区という単位で拠点整備を考えようとするものもあります。

このように、各地区の実情から具体的な取組みを考えた場合、小学校区よりももう少し広い単位で施策を考えてもいいということもきっとあるでしょうし、施策の中身から出発した場合も、小学校区よりももう少し広く/狭くエリアを考えたほうがいいようなケースもあるかもしれません。そうやって考えていくと、「なぜいま、この施策の対象エリアが小学校区になっているのか?」という理由が、ちょっと私には気になってきました。もちろん、それ相応の理由があって小学校区での施策を考えようということであれば、それでかまわないのですが。

と同時に、「小学校区=地域コミュニティの単位」というのは、実はもしかしたら便宜的に作られたものであって、もっとちがった形で地域コミュニティを考えることもできるということも、どこかで私、忘れずにいたいなぁと思います。


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