角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

政吉とフジタ。

2015年11月13日 | 地域の話



秋田市「なかいち」で上演中のミュージカル、「政吉とフジタ」を観てきました。秋田県では著名な二人も、全国的な知名度は今一つかもしれません。それでも絵のお好きな方に、藤田嗣治が描いた「秋田の行事」を知る人は多いでしょうか。縦3.6㍍×横20㍍に及ぶ巨大壁画は、観る者を圧倒せずにおきません。
東京に生まれフランスで画の才能を認められた藤田嗣治(ふじたつぐはる)と、彼の画に魅了され巨額の資金を投じて美術館を建設した平野政吉(ひらのまさきち)。二人の物語は太平洋戦争をはさみ、激動の時代に展開されます。

平野政吉は秋田県有数の大地主に生まれ、米一俵1円の時代に月75円の小遣いを浪費したと云います。平野家が所有する田畑は東京ドーム70個分に相当し、収穫される米は60㌔俵で一万。解体され今は遺されていない米蔵を文献により再現すると、およそ六千俵が積み込まれたそうです。角館西宮家が東京ドーム25個分、米蔵収量はおよそ四千俵ですから、まず二~三倍の規模ですね。
物語の詳細はこれから観劇される方々に迷惑でしょうから、このへんにしておきます。

実は10月27日の「今日の草履」でご紹介した「絣(かすり)草履」は、このミュージカルに出演されている四人の役者さんへ贈られたものです。贈り主から託された雪が降る配色というのは、ストーリー前半で理解できました。
藤田嗣治と平野政吉が出会ったのは奇跡といって過言ではないでしょう。そして四人の役者さんの足に「絣の雪が降る草履」が生かされるのも、私は奇跡と呼びたいですね。
コメント (2)
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