角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

草履実演究極の目的。

2015年11月10日 | 実演日記







今日の草履は、東京都町田市のおばさまのオーダー草履です。ご希望配色が「完全おまかせ」でしたので、こちらのご注文を利用させていただき、朝ドラシリーズ「うめ風草履」を編んでみました。友近さん扮する「うめ」よりもお洒落に仕上がりましたね。見ようによっては終盤を迎えた紅葉の雰囲気も感じられます。

こちらのおばさまはちょうど二年前からのご愛用者で、そろそろお買い換えを考えていたとき来年元日からの価格変更を知ったとのこと。さらに今秋東北旅行の計画があるため、西宮家まで引き取りに伺う旨のメールをいただいておりました。そのメールオーダーから約一ヶ月後の今日、西宮家において無事にお渡しすることができました。草履の引き渡しと共に私との再会もとても喜んでくださり、またお訪ねくださる約束をして次の目的地へと出発されました。

ここ数日、お葉書やメールのおたよりが続いています。角館観光のご感想と共に草履の履き心地、寒さに向かう私の体をお気遣いくださる内容には、どうしたって笑みがこぼれますよ。そして多くの方が書いてくださるのは、「またいつかきっとお訪ねします」の文言です。私の草履実演は、角館草履の素材や健康効果をご理解いただく意味が確かにあります。しかし究極の目的を言えば、お客様の「再訪」を促すことにほかなりません。

それぞれのお客様が何年か後に「また角館へ行ってみようか」と思ってくださる理由は、「武家屋敷をまた歩いてみよう」「あの桜はもう一度観たいね」「あそこの料理は美味かったね」といろいろあるでしょう。その中に「あの草履屋さんの顔も見てこようか」が含まれていたとしたら、それこそ究極の目的を果たせたものと思っております。
コメント (2)
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