今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,600円】
赤と黒の相性の良さに加え、どちらも洋柄でしっくり収まっています。少し賑やかな感じもしないではないですが、お元気な中高年のおばさまにはよくお似合いでしょう。
可愛らしい平生地はこちらです。
杖をご利用のおばあちゃんが、娘さんと思しき女性とお越しでした。おばあちゃんはすーっと丸太椅子に腰を下ろすと、『記念に買って行こうかねぇ』。私がまずは試し履きをお勧めすると、『このあいだ履いてみたから…』。
確かに初対面でないような気はしました。でも言葉がこの地方でないのは分かりましたから、『お住まいはどちらです?』と訊いてみました。すると娘さんと思しき女性が、『あのぅ、被災で…』。なるほど、福島県から暫時当地でお暮らしの方なんですね。
新聞等で報道されているように、原発事故が収束に向かうに連れ、ふるさとへ戻られる人たちが多くなっているようです。まだまだ心配はいくつもあるでしょうが、ひとまずふるさとへ帰られるくらいになったのは、本当に喜ばしいことです。
おばあちゃんと娘さんも、今月いっぱいで福島県へお帰りになるとのこと。それが「記念に…」の言葉になったんですね。おふたりは、『ここのみなさんには、ほんとにお世話になりましたよ』。
「明日はわが身」と思えば、ごく当たり前のことだと思いますね。
九月の末ごろでしょうか、レストラン入り口のベンチで電話をしている青年がおりました。聞き耳を立てているわけではないのですが、実演席の背中ですから声がよく聞こえます。
彼は車のセールスマンで、電話の相手は顧客。どうやら福島県から暫時秋田市で暮らしている人が、当地で車を購入するようです。
その福島の人が、新車を「秋田ナンバー」で登録できないかセールスマンに相談したんですね。電話の内容はその相談に対する返答でした。
なぜ秋田ナンバーで登録したいのかというと、福島ナンバーではガソリンスタンドで給油を拒否されたり、駐車場で車に傷を付けられたりするんだそうです。いわゆる風評被害の典型例ですが、にわかには信じ難いことが実際にあるのでしょう。
「明日はわが身」と思うことができれば、そんなことはそうそうできないと思うんですがね。