角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

もうひと手間。

2011年10月13日 | 実演日記




今日の草履は、彩シリーズ23cm土踏まず付き〔4,000円〕
【2012年1月1日より4,600円】
先月届けられた布地には、可愛らしい洋柄が数種類ありました。「今日の草履」もその中のひとつで、オレンジ色と合わせたところさらに可愛くなりましたね。
平生地はこちらになります。



カミさんのアルバイトが残業の日は、仕事帰りにスーパーへ寄るのが私の役目になっています。主な買い物メニューに「冷凍食品」があって、これが昼食弁当の中身となるわけです。
いまどきの冷凍食品は侮れませんよ。種類が豊富なうえに、味だってなかなかのものです。ただしこれが毎日だと、弁当のフタを開ける楽しみが若干損なわれるんですよねぇ。

実演をご覧のお客様から、『ずいぶん手間がかかる仕事ですねぇ』というお声をいただくことがあります。イ草に布を巻く作業が、いかにも根気が要るように見えるのでしょう。
そんなとき私がお答えするのは、『ものづくりは手間をかけた分が作品に出ると思うんですよ』。お客様はみなさん頷いてくださいます。

実は八月以降に編んだ草履には、さらにひと手間加わっています。



つま先の裏側に草履を形作る「芯」が二本出るのですが、これを畳を縫う糸できつく結わえることにしました。これによって期待できるのが、先ツボの伸び防止なんですね。
基本的に雪駄や下駄など和の履物は、次第に先ツボが伸びてくるのを「宿命」と考えられています。とは言いながら少しでも長くご愛用いただくために、出来る工夫のひとつを加えたというわけですね。

ほぼ毎日草履を編み続けるのもたいへんと言えばたいへんですが、昼の弁当を作り続けるのもたいへんな作業と思います。冷凍食品にもうひと手間…などと言えるものではありません。
コメント
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