角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

まず一歩。

2009年08月11日 | 実演日記


今日の草履は、富山県魚津市からお越しくださった男子大学生さんのオーダー草履です。『紺系と赤系でお願いしますっ』がこちらになります。
『来年は就活が待ってますから、旅行なんてこれが最後ですよっ』と笑う男性、ひとり旅を気ままに愉しんでました。角館には「若き旅人」も似合うんですね。

お好みの色調はそのまま取り入れ、さらにプリント柄を「フクロウ」で統一してみました。フクロウは縁起物とされていますから、来年の就活に少しでも縁が生まれたら嬉しいですね。

さてブログ更新が遅れ気味の中、新たに三人の草履職人が誕生しています。おひとり目は石川県小松市にお住まいの女性。ご注文の草履が届くと、『娘が履く草履を私が編んでみたいっ』と思ったそうです。草履台にイ草材料、編み方ビデオを早速発送させていただきました。通算108人目の草履職人です。

おふたり目は大仙市大曲で草履作りに励んでいる女性が、『編みたいともだちがいるものぉ』と言ってお越しでした。草履台にイ草材料をお買い上げです。その三日後、またまた同じ女性が『もうひとり増えちゃった』。
それぞれ109人目と110人目の草履職人誕生と相成りました。

昨日のこと、お顔に憶えのあるおばあちゃんが、孫娘さんと思しき女性とお越しです。丸太椅子にお座りになると、『もう三年にもなるけど、手をつけてないのよねぇ』。
詳しく聞いてみると、かつて草履台やらイ草材料をお買い上げのおばあちゃんでした。三年ほど前と言えば、こうしたグッズ販売をはじめて間もない頃です。

そろそろ手をつけてみようかなと思っても、「難しそう」が先に立ってなかなか踏み出せないとのこと。80歳を過ぎたというご高齢も影響しているのでしょう。
かねてから、こちらのおばあちゃんのような方がいるんじゃないかなとは思っていました。実演を観て、『面白そう』や『私にも出来そう』と草履台などをご購入しても、その後ほとんど進展のない「草履職人」ですね。

人生の大先輩であるおばあちゃんに私ごときが助言じゃないですけど、『まず一歩踏み出してみません?』と言ってみました。おばあちゃんは苦笑いしながら、『そうよねっ』。

来年から就活がはじまる先の男性のように、これから世間へと巣立つ若者たちには、『まず一歩』に怯えないで欲しいものです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする