角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

持続可能な開発。

2009年08月04日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ22cm土踏まず付き〔四阡円〕
紺基調の花柄プリントをベースに、合わせは赤茶の金プリントです。
華やかさにおとなの雰囲気が漂う配色、文句ナシに綺麗な草履と思います。中高年のおばさまにお勧めしたい平生地は、こちらになります。



曇りから雨の予報を裏切り、少し久しぶりに厳しい暑さを感じた今日の角館です。最高気温は33℃となっていましたが、体感ではもう少し高い気がしますね。ほんとに暑かったです。

二十歳くらいと思しき女性がひとり、興味ありげに実演を眺めてお出ででした。テンションの高さはさほどでもなく、草履コーナーのあっちを見てはこっちへ戻り、言ってみればナニかを探しているという雰囲気でしょうか。
一言二言の会話のあと女性が私に訊くのは、『この草履って、持続しますか?』。

『持続しますか?』、公開実演をはじめてから五年ほどが経過しますが、初めて聞く質問です。私のほうから『持続って言うのは、どう答えればイイんだろ?』と訊ねてみると、『あぁ、たとえば材料のイ草とか…』。
こうした不思議な質問も、その後の彼女とのおしゃべりで全容が解明されます。

仙北郡美郷町出身の彼女は、親元を離れ東京の大学へ通う一年生。英語のエキスパートを目指して上京したようです。そんな彼女が、他校の優秀な学生を含むセミナーに参加しました。そのセミナーで出された宿題が、“持続可能な開発”をテーマにした英文レポートなんだそうです。

私もはじめて彼女から聞かされたこの言葉“持続可能な開発”、いったいなんのこっちゃと思いました。彼女も私と同じレベルのようで、『なにを書いたらいいのかさっぱり分からなくて、締め切りがお盆前なんですぅ』。
イメージとしては地元特産品を利用した新開発のようですが、それでも思い浮かぶものがなくて、手探りのように角館へ来たんですね。

さすがの草履職人も参ってしまいました。美郷町で名の知れたものと言えば、ラベンダーや天然水がありますが、それぞれに地元民の手でいろんな商品が開発されています。パクリでないものを新たに考案するとなると、大学一年生でしかも英語を専攻している彼女にはまったく未知の世界でしょう。
そうでなくとも地元生産者や商人たちが日々頭をひねっているのが、こうした新商材なわけです。これはちょっと荷が重いかも知れませんねぇ。

挨拶のあと一度実演席を離れた彼女は、運転手として同行してくれていたお母上と共に再度お越しになりました。そこでもまたいろんなおしゃべりをしたのですが、ヒントを与えてあげられなかった私の薄学をまず詫びました。すると彼女は、『このテーマがなければきっとここへも来てなかったと思うので…』。どうやら角館草履と草履職人との出会いは、ひとつの収穫と感じてくれたようです。

『ヒントになるものはないかも知れないけど、土曜日の夏祭りに遊びに来ない?』とお誘いすると、祭りの時間を確認してお帰りです。
来てくれるかどうかは分かりませんが、角館あきんど塾&商工会青年部主催の「かくのだて絵燈籠夏祭り」の詳細は、明日のブログでご紹介いたします。

コメント
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