角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

健康的な徴兵制度。

2009年08月14日 | 実演日記


今日の草履は、彩シリーズ24cm土踏まず付き〔四阡円〕
黄色基調の金魚プリントをベースに、合わせは青の洋柄プリントです。
ハッキリとした明るい配色は、待ちかねた夏を想わせるようです。ときおり見える金魚プリントは、可愛い夏の定番ですね。平生地はこちらになります。




降りも降ったり昨日の大雨。お盆13日のお墓参りに大雨というのは、私の記憶でも何年かに一度ありますね。今年のお盆は見事それに当たりました。
明けて本日14日、午前9時頃にはすっかり晴れ上がったものの、吹く風ははっきりと秋を感じます。

巨体に汗しながら実演席前に立った青年、『少し見ててイイですか?』。少し考えながら喋る日本語に、アジア系外国人というのが分かりました。丸太椅子に招きしばし実演を眺めたあと、ミニ草履をひとつ手に取りました。そのまままたしばらく実演を眺めると、そのミニ草履を元に戻し、今度は私の後ろに展示してあるMAX30cm草履を手に取りました。

『日本の記念にちいさい草履を買おうと思ったんですけど、作っているのを見ていたら、これはやっぱり自分が履くモノを買ったほうがイイと思って…』。
言葉を選びながらしっかりその意思を伝える青年に、私は彼の純朴さを見ました。

『お国はどちら?』と訊ねると、『韓国です』。さらに『学生さん?』と訊ねると、『はい、徴兵に二年行ってて、まだ二年生なんです。一緒に入学した女の子はもう卒業なんですよねぇ』。
「徴兵制度」、テレビや新聞でときに見聞きしますが、目前にその徴兵を終えたばかりの青年がいると思うと、私の興味はそこに絞られました。

『徴兵生活って、かなりキツいの?』と訊くと、『はい、そりゃあもう。はじめの二週間で体重が20キロ減ったんですからぁ』。
彼の巨体を推し測るに、おそらく100キロはあるでしょう。二週間で20%落ちるというのは、かなり過酷な生活を想像しました。

すると彼は、『起きる時間も寝る時間も決まってて、食事の時間も量も毎日同じ、だんだん朝目覚めるのが気持ち良くなっていくんですよっ』。
私が、『それって体にイイんじゃないの?』と訊くと、『そうですよっ、体にはとってもイイんですっ』。

外国人とのおしゃべりで、こんなに笑ったことはなかったと思います。彼は30cm草履を抱きしめ、『韓国に帰ったら大事に履きますっ』。
私も彼に負けない笑顔で見送りました。

いつだったか誰だったか憶えてませんが、『徴兵制度は日本にだってあってイイ』の趣旨を発言した政治家がおりました。「愛国精神」を言いたかったのかも憶えてないんですが、生活をより正しくする効果はあるのかも知れませんね。

コメント
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