角館草履の『実演日記』

〓袖すり合うも多生の縁〓
草履実演での日々の出会いには、互いに何かしらの意味があるのでしょう。さて、今日の出会いは…。

意外なご愛用者。

2007年05月08日 | 実演日記

<生地詳細・素材感>

今日の草履は、5月6日、秋田市からお越しくださった奥様のオーダー草履です。
『私が履いてる草履を見て、息子がどうしても欲しいっていうのよぉ~』がこちらになります。写真だけでは分かりませんが、この草履サイズは28cm、今期実演でのLLサイズ初オーダーとなりました。本日の便で出発いたします。

こちらの息子さんもそうですが、比較的お若い男性用のお求めが少なくありません。中高年を含めると、全体の30%近くが男性と思います。
女性だけのご来店でよく聞く言葉は、『ウチの旦那なんか履くわけないわよぉ』。もしかしたらそれは、ただの先入観かも知れません。

今日は秋田市へ布地材料探しに行ってきました。自宅が留守のときはケータイへ転送するのですが、そこへ男性からお電話です。
『草履が欲しいんですけど、今日はどこへ行けばイイですか?』とのことでしたから、『スイませ~ん、今日一日お休みをもらってて、明日からはまた西宮家にいますぅ』とお応えすると、『いやぁ、自宅へお伺いしても買えませんかねぇ‥』。そこまでおっしゃるにはきっと事情があると思い、尋ねてみました。すると‥

『実は先日女性用の草履を買って、漫画家の○○先生の奥様へ送ったんですよ。そしたら○○先生本人がすっかり気に入ってしまって、奥様のを履いてるって言うんです。それだったら先生用のをすぐに送りますって言っちゃったんですよぉ』。

秋田市にお住まいのこちらの男性は角館へ来られる日が決まっていて、その日が今日というわけだったんです。
そういう事情であればもちろんなんとかします。夕方お互いの都合を合せて、わが家へお越しいただきました。

それにしても○○先生とおっしゃるのは、誰が聞いてもすぐ分かる著名な漫画家さんです。そんな大先生が私の草履をご愛用とは、なんだかワクワクするような話ですねぇ。
奥様の草履をこっそり履いているご主人、案外いるかも知れませんよ。

さて、秋田市での材料探しの成果はこちらです。



GWが終ってすぐ新作に取り組めるのも、冬場の努力がすべてですね。昨年のこの時期はオーダー作りに明け暮れてましたから、とてもそんな余裕はなかったんです。
「仕事とは追われるものではなく追うもの」、若い頃に教わった教訓を、44歳にして実感しています。

コメント
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