緑陽ギター日記

趣味のクラシック・ギターやピアノ、合唱曲を中心に思いついたことを書いていきます。

NHK交響楽団6月公演を聴く

2021-06-18 00:11:49 | オーケストラ
今日、19時から東京六本木のサントリーホールで開催された、NHK交響楽団6月公演を聴きに行ってきた。
NHK交響楽団の生演奏を聴くのは初めてだし、そもそも交響曲や管弦楽のコンサートを聴くことは殆ど無い。
では何で聴きに行ったかというと、昨日仕事から帰ってきて食事中にたまたまNHK-FMの番組で、NHK交響楽団6月公演の生放送を聴いたことがきっかけであった。

ラジオを入れてちょうど流れてきたのが、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。第2楽章の途中からであった。
もちろん初めて聴く曲だったけど、演奏者の青木尚佳さんのヴァイオリンの音が妙に心に響いてきて、釘付けになってしまったんですね。
食事をしながらという、いい加減な聴き方ではあったんだけど。
だけどこういう生演奏を聴いてみたい!!、という気持ちがそのとき凄く湧いてきたのだ。

それでその後すぐに、青木尚佳さんのことをインタネットで調べていくと、なんと16日と全く同じプログラム、演奏者でのコンサートが17日(2夜連続)にもあることが分かった。
私にしてはめずらしく、即断即決でチケットを予約した。
わずか残り数席だった。それも一番高い席(8,500円也)。

今日は運よく在宅勤務でしかも早出なので仕事は15:30に終る。
なので19時開演には十分間に合う。

会場に着くと、人数制限をしているとは言っても、かなりの人出だった。
客層は小学生からお年寄りまでさまざま。20代の方も結構いた。
プログラムは下記のとおり。

指揮:パーヴォ・ヤルヴィ
ヴァイオリン:青木尚佳

アルヴォ・ペルト
スンマ(弦楽合奏版)

シベリウス
ヴァイオリン協奏曲ニ短調 作品47

ニルセン
交響曲第4番 作品29「不滅」

どの曲も全く異なる曲想、構成を持つ曲であったが、いずれも大きな感動を得られた。
シベリウスのヴァイオリン協奏曲は、ソリストの超絶技巧が要求される大変難しい協奏曲であったが、私はこの曲が好きになった。
青木尚佳さんのエネルギーに満ちた音や演奏があったからこそである。
しかしこういう協奏曲のヴァイオリン演奏は、最後まで体力と感情パワーが持続しないと聴衆を惹き付けることは難しいと感じる。ギターの協奏曲をはるかに超えるレベルだ。
今日の演奏は昨日の演奏と比べてどうだったのであろう。
演奏後の万雷の拍手がなかなか鳴りやまなかったのが印象的だった。
アンコールで弾いてくれた独奏曲も素晴らしかった(重音を多用した非常に難しい曲)。

ニルセンの交響曲は現代音楽の範疇なのだろうが、不協和音など無くいわゆる聴きやすい曲ではあるのだが、非常に難解な曲。
事前にこの曲を録音で何度も聴いてから生演奏を聴いた方がもっと楽しめたかもしれない。
それにしても、N響の演奏のパワーと技量の高さには驚くばかりだった。
これが一流のオーケストラの演奏だと感服せざるを得ない演奏。
そしてパーヴォ・ヤルヴィ氏の指揮、これがものすごかった。
ヴァオリン協奏曲の途中で、ソリストを挟んで第1ヴァイリンの出す音を高揚させるために示した、左手の振動、そしてニルセンの交響曲のクライマックスで見せた両腕の振動の動きの凄まじさが、その音楽に対する思い、情熱やエネルギーの強さを物語っていた。

終演後は万雷の拍手が長時間鳴り響いた。
演奏者たちが退席しても、客がホールを出始めても、しばらく大きな拍手が鳴り響いていたのは凄いというか、一種異様でもあった。

やはり、音楽は生演奏で聴かないと絶対だめ。
録音だと平面的にしか聴こえないし、奏者の感情的、精神的エネルギーや感情パワー、臨場感、研ぎ澄まされた集中力、息吹といったものがなかなか直接には伝わってこない。
音も生の音にはかなわない。
電気処理した音など、もってのほかだ。

あと感じたのは、生演奏は、奏者と聴衆の潜在意識下での深いコミュニケーション、交流がなされているということ。
奏者が一流であればあるほど、長く記憶に残るものとなるに違いない。
今日の演奏会でそれをしっかりと感じ取ることができた。

これからもっと生演奏を聴いていこうと思う。
それも超一流、一流の演奏の方が値段が高くても大きな感動を体験することが出来る。
もっと早く気付くべきであった。

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