晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

葉室麟 『川あかり』

2016-12-17 | 日本人作家 は
直木賞作品「蜩ノ記」を読んだのはいつだったっけ
と当ブログをさかのぼって調べてみたら、1年前に
読んでました。

この作家さんの次の作品を読みたいなあと思いつつ
はや1年。時の過ぎるのがはやいですねえ。

さて、この作品の舞台は、綾瀬藩という架空の藩、
そして主人公は、伊東七十郎という軽輩の侍。

伊東は、川を渡りたいのですが、水位が上がって
流れも急になっていて、川止めとなっています。

そこに、豪右衛門と名乗るふんどし姿の自称・武士が。
宿を紹介するというので行ってみると、そこは木賃宿
という最下級の安宿。

もし川止めが長引いたら宿代飯代やらで手持ちの金も
減っていくので、仕方なくこの宿に泊まることに。

案内されたのは2階の間。そこには、徳元という坊主、
弥之助という猿廻し、お若という女芸人、千吉という
遊び人、1階には、洪水で住めなくなった村の名主の
佐次右衛門、その孫のおさとと五郎の姉弟が滞在して
います。

ところで、伊東は、なぜこんなところにいるのかというと、
実はある人物を討つため、つまり刺客なのです。
その人物とは、綾瀬藩家老、甘利典膳。

綾瀬藩では藩内改革の急先鋒の甘利派と、保守の稲垣頼母派
による派閥の対立があり、頼母が何者かに斬り殺されたこと
で対立は激化、藩内の若い武士たちは、藩政改革を訴え党を
結成し、寺に立てこもります。

そんな中、伊東のもとに、稲垣派の重臣から呼び出しがかか
ります。
重臣は伊東に、甘利が江戸から綾瀬に戻ってくる途中で斬れ
というのです。
しかし、伊東は「藩で一番の臆病者」と不名誉なレッテルが
貼られていて、とてもとても自分は・・・と断りますが、
甘利の暗殺ができそうな若い侍たちはみんな寺に立てこも
っていて、お呼びがかからなかった伊東ぐらいだというの
です。
ですが、この重臣は、伊東の今は亡き父親と昵懇で、父親は
剣術の達人で、きっと息子に「秘技」を伝えているはずだ、
とにらんで、武芸もからっきしダメな伊東にこんな大役を
やらせようとしますが・・・

川止めは続き、宿に泊まっていた客たちと伊東との間に
不思議な関係性ができてきて、自分は刺客だと打ち明け、
豪右衛門に剣の訓練を受けることに・・・

はたして伊東は甘利を討つことができるのか。宿にいる
彼らの正体とは。

ところで、主人公の名前は、山本周五郎の「樅の木は残った」
に出てくる若い侍と同じですね。
たしかこちらの伊東七十郎は血気盛んな若者だったと記憶して
いるのですが、まあオマージュなのかは分かりませんが、
こういう部分で「お!?」とニヤリとできるのは、なんとなく
嬉しいですね。

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