晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

東川 篤哉 『密室に向かって撃て!』

2018-02-01 | 日本人作家 は
この作品はシリーズもので、舞台は架空の市「千葉の東、
神奈川の西」の「烏賊川(いかがわ)市」という、もう
すでになにもかもフザケているわけですが、1作目の「
密室の鍵貸します」で登場する、烏賊川市大学の映画学科
を中退した流平という若者がある殺人事件の現場に居合わ
て、その解決を手伝う(自称)名探偵の鵜飼、そして刑事
の志木と砂川のコンビ、まあこのあたりが主要人物。

で、じつは先にこの作品の続編にあたる「交換殺人には向
かない夜」を読んでしまい、そこで登場する鵜飼の探偵事
務所が入居している貸しビルの女性オーナーの朱美、お嬢
さまの十乗寺さくらが、今回出てきます。といっても朱美
は1作目に出てるんですが。

繁華街で喧嘩騒ぎがあり、相手を怪我させたということで、
町工場の工員の逮捕に向かう烏賊川警察の志木と砂川。
家に帰ってきたところに逮捕状を突き付けると、男はいき
なり刑事を突き飛ばして家の中に逃げ込み、いきなり銃を
発砲します。が、2発撃った後、応答がありません。
男の部屋はマンションの4階。刑事が部屋に踏み込むと男
の姿は無く、ベランダに出て下を見ると墜落しています。
男は死んでいますが、志木と砂川は男が持っていたはずの
拳銃が無いことに気づきます。部屋に戻って探しても見つ
かりません。

発砲音があった直後、何者かがマンション方面から走って
きたという目撃情報があり、つまり拳銃はその「何者か」
に盗まれたのか。

それから2週間後、馬の背海岸でホームレスの男性が銃で
撃たれて死んでいるのが発見されます。ホームレスのポケ
ットに、電話番号の書いてある紙が。その番号を調べると、
「鵜飼杜夫探偵事務所」でした。

そのホームレスは(金蔵)といい、ときどき鵜飼の探偵の
仕事を手伝ってくれたのです。しかし、金蔵のねぐらは、
市の中心部にある橋の近くで、海岸ではありません。
銃を盗んだ何者かが試し撃ちをしたというのか。

鵜飼は流平を呼び出し、金蔵の殺害現場へと向かいます。
そこで流平は砂浜を歩いていると、牛か豚の脚の肉が砂に
埋もれているのを発見します。そこに、いきなり背後から
話しかけてくる女性。「十乗寺さくら」と名乗ります。
十乗寺家といえば大手食品メーカー、つまりそこのお嬢さま。

そこにさくらの祖父の十乗寺十三が。流平は「自分は探偵の
助手」と自己紹介すると、興味を持ったらしく、十三は流平
を家に招待します。その家とは、海岸の崖沿いに立つ豪邸。

翌日、鵜飼の事務所に十乗寺十三が、調査の依頼に訪れます。
話を聞くと、孫のさくらの結婚相手候補が3人いて、その3人
の身辺(特に女性関係)調査とのこと。

1か月後、十三から依頼された調査結果の報告に、鵜飼と
流平は十乗寺家へと向かいます。すると、駐車場には複数の
車が。さくらの花婿候補の3人も来ている様子。

鵜飼と流平は、食事をごちそうになり、酒を飲んで応接室で
寝ていると、突然大きな爆発音がして、流平が起きると、窓
の外には銃を持ったコートを着た覆面の怪しい人物が。
電気を点けると、なんと鵜飼が足を撃たれて痛がっているで
はありませんか。
さくらの花婿候補のひとり、田野上とさくらの父が応接室に
駆けつけ、それからライフルを持った十三も来て、さくらと
さくらの母も来ます。
ところが、花婿候補の残り2人の升村と神崎がいません。

窓の外を見ると、使用人棟から使用人の佐野さん夫婦が本館
に向かってくるのが見えましたが、本館に着いたのは奥さん
だけで、佐野さんは怪しい人物を見かけたのでそれを追って
いるというのです。

佐野さんは(飛魚亭)と呼ばれる離れに向かっています。
すると、2発連続して銃声音が。
流平と田野上とさくらの父が飛魚亭に向かっていると、さら
に1発の銃声が。そこには左腕を撃たれた佐野さん、そして
心臓を撃たれた神崎の死体が・・・
現場付近には、なぜか升村が横たわっています。すると寝ぼ
けてはいますが、死んではいません。

救急車とパトカーが到着し、怪我をしている佐野さんと鵜飼
は救急車で病院へ、刑事の志木と砂川は屋敷に残った人たち
に聞き込み、さらに現場検証。

崖の突端から、コートと靴が発見され、さらにその近くに
拳銃が落ちているのが発見されます。
砂川は銃の弾倉を引き抜き、残りの弾を確認しますが、中
はカラ。8連発形式の改造銃で、はじめに男のマンション
で2発、ホームレス殺害に1発、十乗寺家の敷地内で鵜飼
が足を撃たれて、神崎の心臓に1発、神崎の死体の横のコ
ンクリートに弾がめり込んでいたので、神崎を打ち損じた
ものか、さらに佐野さんの左腕で計7発使われたのですが、
銃弾はもともと7発しか込められていなかったのか、ある
いは8発あったとしたら、残りの1発はどこへ・・・

相変わらずといいますか、全体的にオフザケ満載ではあり
ますが、肝心のミステリのネタ部分はしっかりしていて、
まあ一部「ん?」っていう強引さはあるといえばあるので
すが、それでも「よく練られてるなあ」と感心。
コメント
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