晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

横山秀夫 『クライマーズハイ』

2009-01-29 | 日本人作家 や
以前、著者の「半落ち」を読んで、法的解釈ではあり得ない物語のカギ
で物議を醸したこの作品、そんなことは別にして、無駄のない構成で、
読みやすかった、というのを覚えており、この「クライマーズハイ」も
期待して読み始めました。

話は、1985年8月、日航機が群馬県境付近に墜落した「日航機
墜落事故」の地元新聞社での緊迫した状況。
この大事故を取材する側の視点というのが、興味深い。
社内の醜い派閥争い、足の引っ張り合いというのも随所に絡めて、
正義一辺倒では新聞作りは出来ないのだなあ、と合点。

この話とクロスするように、主人公である悠木が登山をしています。
パートナーは、17年前に死亡した同僚で友人であった安西の息子。
17年前のある日、安西は悠木を登山に誘います。しかし、その日
の夕方、日航機が墜落したというニュースが入り、しかもまだ社に
残っていた悠木は、上司に全権デスクを命じられます。
翌日の登山は当然キャンセルで、悠木は忙殺されるのですが、次の
日、ひとりで登山に行っていたはずの安西が、街中で倒れて入院し
たという連絡が入るのです。

過去と現在のクロスオーバーは、正直いって違和感めいたものを感じ、
というか、不自然とまではいいませんが、その接合部分があからさま
であったり、あるいは切り替わりが唐突だったり、だからといって、
ストーリーが混同してしまい前頁に戻って確認しなければならない、
といったことはありませんでしたが。

ただし、筆の巧みさを問うのは、文学賞の選考委員であって、いち読者は
本を買って、読んで、それに費やした時間と金に後悔しなければいいのです。
そういった意味ではまったく後悔せず、それどころか有意義でした。
コメント
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