晴乗雨読な休日

休日の趣味レベルで晴れの日は自転車に乗ってお出かけ。雨の日は家で読書。

アリス・シーボルド 『ラブリー・ボーン』

2008-12-23 | 海外作家 サ
アメリカの田舎で、10代の女の子が近所の男に強姦されて殺される、
というかなりヘビーなはじまりで、しかし、本の帯にはどこにも
サスペンス的なことは書いてなかったので、あれ?と思って読み続けてたら
天国に行った女の子が、天国からの視点で地上での家族や友人、自分を殺した
犯人を観察する、といった話。

1人の家族を突然失うかたちとなり、父母、祖母、妹弟は違和感な暮らし
となり、なんだかんだあって、母は家から出て行ってしまいます。

被害者家族には、メディアの表舞台ではあまり伝えない2次被害というもの
があって、近所や友人はよそよそしくなり、親はちょっとでも怪しい奴を
見れば犯人と思い疑心暗鬼になる。そして、いわれのない噂話が広まる。

読んでいくと、このような、ともすれば陰鬱になりがちなテーマを
「天国からの視点」を介してストーリーは進んでいくので、主観であり
(わたしという1人称)、客観である(家族や友人にとっての彼女)という
割り振りが、読んでいて嫌な気持ちにさせません。

サスペンスやミステリーではないので、犯人の背景や動機を細かく描写
しなくてもいいのですが、ただそれでも、この犯人(実は他にもいっぱい
女性を殺してる)の心のゆがみというか、殺人鬼になり果てた理由付けが
ちょっと弱かったかな。家庭環境が悪かったからといって必ず心が歪む
とは限らないですからね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする