やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

『山桜』

2009-11-10 | 映画雑感

                                              (蔵王の冬桜)


『山桜』をDVDで見る。

確か、ずっと以前に原作も読んでゐたはずで、映画の作りも原作に添って静謐な気持ちのよい仕上がりです。

主人公たちが、すこし美男美女すぎるかしらん、とは思ひますが、まさに藤沢周平好みのテーマであり、その世界を淡々と再現してゐる。
藤沢周平の、そぎ落とされた文章を具現化すると、あるひは、本来はこの映画のやうになるのかも知れません。

薄倖の女を田中麗奈が不器用にまったく不器用に演じてゐて、でもそれゆゑに主人公自身の不器用な生き方がにじみ出てくる。
ラスト近くの、自分のこれからの生き方にひと筋のひかりを見つけたときに演じたうれし泣きのシーンは名演、でした。

東山紀之演ずる武士は、まあ、あれでもよいのでせうが、ラストも結末を霧のなかに投げ入れてゐてそのシーンもよかったのですが、あんなに無口な男であっては今時では逆の三行半にされてしまふかもしれません(奥方は、怖いですからー)。

とまれ、軽妙さも激しい話の展開もありませんが、まさに山の桜のやうに、楚々とした映画になってゐたのは嬉しい限りです。


公式サイトがありました。こちらです。