確かに、ナタリー・コールの『アンフォゲッタブル』を聴いた時は、感動的でした。彼女がデビュゥした頃には、幾枚かのアルバムを聴いた。
歌はすでに上手かったけれど、どこか、偉大な父親の光と影を払拭したい、そんな切ない気持ちも見へ隠れしてゐた。
それ以降、彼女の歌を聴く事もなかった。
スタンダードを歌った『アンフォゲッタブル』のアルバムは、その伸びのよい歌声と、完璧な歌唱力とで一気に聴き及んだ。
そして、ラスト曲。
最初は、何が起こったのかわからなかった。
嗚呼、父親とデュエットしてゐる!!
完璧なまでのミキシングで、ナタリーの声が、亡き父親の声に寄り添ってゐた!
1990年代の初めだった。
その後、『テイク・ア・ルック』もよかったけれど、確か、同じやうなアルバムがでてゐた。
『スティル・アンフォゲッタブル』といふ新しい彼女のアルバムを聴いたけれど、
さうかなー、といふ思ひがでてしまった。
相変はらず歌は上手いけれど、悲しいかな、声に張りがなくなってゐる。
そして、もっと悲しいのは、彼女もディレクターも十二分に解ってゐるはずなのに、父親とのデュエットが一曲入ってゐる。
名作『アンフォゲッタブル』は、そのままにしておいてほしかった。