久しぶりに聴いて、懐かしいショパンの前奏曲のテーマ。
「アスペクト・イン・ジャズ」といふ、FMのジャズ番組のテーマ音楽でした。
30年くらゐ前、のことでせうか。
ジャズ評論家の油井正一氏が、まだとてもジャズが熱い時代に、一寸落ち着いた口調で語ってゐた番組でした。
一寸保守的なジャズ感があったやうな気がして(当時はー)、個人的には余り好きではありませんでしたが、このアルバムは、見事にそれを思ひ出させます。
1963年9月の録音。
メンバーの好みが、やはりいい(好み、って、至極大事なことなのだと思ひます。
茶道の好み、もまた同じレヴェルでせう)。
ジェリー・マリガンの、バリトン・サックスの魅力が充分生きるやうに、ジム・ホールのギター、アート・ファーマーのフリューゲルフォーン、ボブ・ブルックマイヤーのトロンボーン、が如何にも、洒落た味を出してゐる。
攻撃的なジャズでもなければ、特に、何かを主張するジャズでもないけれど、
大人のお洒落とはかくある、とでも云ふやうなアルバムです。
アルバムタイトルも、ジャケットも、夜になってゐますが、日差しのやはらかな初夏、あるひは初冬、昼下がりに聞くには格好のアルバムです。
(写真は、LPより)