山形に移り住んで15年になります。
10年を過ぎたあたりから、やっと、山形県人に成れたでせうか。
それは兎も角、今もって、印象的なことに、「タマツバキ」があります。
いはゆる、マサキ、なのですが、山形のひとは”タマツバキ”と呼びます。
以前、色々と仕事をさせて頂いてゐるお客さんとの会話の中に
「タマツバキが…」と出てきて、椿好きの小生も、最初は、「どんな椿だ?」と不思議な思ひで話の接ぎ穂を選んでゐました。
写真は、ある神社の生垣で見つけたマサキの実ですが、
これを”タマツバキ”と呼んでゐます。
小さな紅い実を、椿の蕾に見立てた呼び方、なのでせう。
現在、色々な分野で情報が、ある意味過剰に発達し、
”見立て”などといふことは、はるか昔の演出方法のやうになってゐますが、
それでも、ものを見立てる、ためには豊富な知識と、的確な鋭い表現能力がないと、見事に云ひあてることもできません。
山形びとの、優しさの一端をかたる話でせうか。
生垣に使ふやうな、安くて丈夫な樹の実に、
椿のイメージを重ねた云ひ方に、今でも感激してゐます。