昨日は、シューベルトの誕生日、でした。
モーツァルトの生誕250年の話題があがってゐますが、
そのモーツァルトの音楽を乗り越えやうとしたベートーヴェンを敬愛し、
31歳で父よりも早く逝ってしまったF・P・シューベルト。
マレイ・ペライアのピアノ・ソナタ第21番(D960)を引っ張り出して聴きました。ルプーのディスクが聴きたかったのですが、どこかに紛れ込んでしまったやうです。
ひそかに、穏やかに始まるこの最後のピアノ・ソナタは、いつ果てるともしれない旋律がこころを慰めてくれます。
死の年、交響曲では、強大な世界を目指したものの、やはりシューベルトは小さいけれど、研ぎ澄まされた深遠な世界でその生涯を閉じることになる。
シューベルティアーデと呼ばれる豊かな友人達に助けられ、囲まれたことへの感謝のやうに、このソナタは聴くものを穏やかな気持ちにさせる。
ペライヤの音色は、そんなシューベルトに似つかはしく、透明で芯が通ってゐる。
彼のモーツァルトも素敵だったが、如月とはいへ、まだはるかに春遠い雪国で聴くには打ってつけの演奏です。