鈴木秀美による、バッハの無伴奏チェロ組曲全曲のCDを聴く。
一年半ほど前、秩父のホールで録音されたもの、とのこと。
穏やかで、伸びのあるチェロの音色に驚かされる。
録音方式も最新の技術で、木質系の音色のホールのせゐかしらん。
と、思ってゐたら、楽器そのものが、1500年代の名工房の作品らしい。
それと、ノーツにも鈴木自身が書いてゐましたが(舞曲がたくさん組み込まれてゐるではないですか、と)、
確かに、この曲集は、バッハが30代の時の作品といはれてゐるもの。
小生の持つ、カザルスや、トルトゥリエのものを聴く時の、妙な緊張感は不必要なのかもしれません。
(それでも、ヴァイオリンの無伴奏集は、やはり、襟を正してしまふ!)
そんな思ひで聴き続けると、なるほど、やはらかな音色と相俟って、雨水の季節も近い、今頃には打ってつけの演奏なのかもしれません。
(カザルスや、シュタルケルの演奏は、厳冬の滝に打たれながらー、の趣きがありますからー)
それでも、以前、舞踏家で山形市にある大学でも教へられてゐるM先生の稽古場?
で大音響で聴いたカザルスの演奏は、やはり、禊(みそぎ)を受けるやうな、切羽つまった演奏でしたがー。
(写真は、CDのライナー・ノーツから借用)