《船》1955
ド・スタールの絵を、まう一度見たいと思ってゐます。
以前、まったくの知識もなく誘はれて見たのですが、
それ以来、ずっとさう思ってゐます。
1914年、ロシアの名門貴族の家に生まれたニコラ・ド・スタールは、
革命によって国を追はれ、フランスの地で激しく画風を変へながら、
1955年3月、アトリエで自殺した。
具象とも抽象とも云へない(そんな区別はどふでもよいのですがー)
海上の船らしきものを描いた《船》や《海景》が好きです。
見るものに、ある意味、極度の緊張を強いるやうな、
コテやナイフを用ゐての絵から、
晩年には再び筆でのやはらかな画風に戻ってゆく最中の絵です。