やまがた好日抄

低く暮らし、高く想ふ(byワーズワース)! 
山形の魅力や、日々の関心事を勝手気まま?に…。

ハリエンジュ 其の弐

2005-06-04 | 花や樹や

毎年のことながら、ハリエンジュの花を見ると思ふのは、
この樹につけられてしまった”ニセアカシヤ”といふ悲しい名前です。

植物には、例へばイヌツゲ、オオイヌノフグリ、ヘクソカズラ、ドクダミ等々の
あまり芳しくない名前がついたものも沢山ありますが、
”ニセアカシヤ”は、やはり、余りに切ない名前です。

少し調べて見ると、明治の頃に外国から先に入ってきたハリエンジュをアカシヤと思ひ、
後に遅れて入ってきたアカシヤ(いはゆるミモザ)に遠慮してニセの冠がついてしまった、とか。

「エンジュ」といふ店を営んでゐる知人がゐますが、そこまで読んで名前をつけたのなら
何と聡明な方でせうか!

とまれ、ハリエンジュのもつ生命力は、いはれのない名称への怒りのやうに、
川岸を駆逐しながら増殖してゆきます。

ハリエンジュ 其の壱

2005-06-04 | 花や樹や

春の花たちの競り合ひがひとしきり終はり、周りの木々が単色の緑に向かってゆく初夏。
馬見ヶ崎川沿ひは、象牙色の雪が降り落ちたやうに、ひと時だけ華やぎます。

ハリエンジュの花、です。

幼木の頃には幹や枝に鋭い棘を持って伐採をしやうとする人間達を拒み、
成木になると其の棘は幹の亀裂に取り込んだかのやうに堅い木肌になり、
その樹皮は毒をも含んでゐるらしい。
やがて、初夏の今頃、やはらかな白い花と共に甘いかほりを放つ。
その花の蜂蜜は、味も値段も上等なものださうです。

計算しつくしたやうな、ふてぶてしいほどの生命力のある樹です。