rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

移民・難民についてのNHKの秀作

2018-12-05 18:09:13 | 社会

NHKは受信料を払っていることもあって辛口の評論を書く事も多いのですが、時々素晴らしいと思う番組に出会います。先週末に放映された移民、難民についての2つの番組は内容、視点、編集ともに見所のある良い番組であったと思います。一つは「映像の世紀プレミアム第10集難民〜希望への旅路」で今ひとつは 「BS1スペシャル静かなる侵略 中国新移民に揺れるオーストラリア」です。

 

映像の世紀、映像の世紀プレミアムは共に20世紀に撮られた記録映像や写真をふんだんに使って歴史や社会の問題に切り込む秀作ですが、今回再放送された映像の世紀プレミアム 第10集、難民〜希望への旅路 は第一次大戦で帝政ロシアからドイツのスパイ容疑で多くのユダヤ人達が住居を追われて難民となる所から、現在のシリア難民まで、本人達の意思に関わる事なく生活の場を追われて身体一つで未知の場所へ移動せざるを得なくなった人達が世界でいかに多かったかを痛感させられるものでした。第二次大戦におけるユダや難民は有名ですが、大戦後多くのドイツ人達が支配地を追われてドイツに難民として追放されたこと(1,400万人と言われ、そのうち200万人が死亡したとも言われる)はあまり取り上げられることがなく認識を新たにしました。戦後ドイツの人口の1/5近くの人達がこれらの被追放者であったこと、そこから苦労して戦後の社会を作り上げて行ったというドイツ人達の経験が現在の難民受け入れへの柔軟な姿勢にも現れていると言われます。ベトナム戦争における南ベトナムの人達が米軍からも戦後北ベトナムからも苦労をさせられた事、ユダヤ人のシオニズムで新たなパレスチナ難民が生まれた事など改めてその経緯を振り返ると各個人の「故郷の権利」と「自己決定の権利」が主に他国の都合によって侵害されてゆく事実が虚しく、残念ながらこれから先の未来にも起こる可能性が高いと暗澹とした気持ちにさせられます。

 

難民達(番組ホームページから)           敗戦後のドイツ追放者達の移動                 ベストセラーとなった静かなる侵略(番組ホームページから)

    

もう一つの番組は中国からの移民が120万人に達して人口の5%が中国移民になったオーストラリアにおいて、地方自治に中国系移民達が参入してくるにあたって、政治参加の目的が中国共産党の意を受けた国家的な間接侵略の様相を呈して来たことへの危機感を地元の住民達が持ってきたことのレポートでした。シドニー大学の教授の書いたSilent invasionという本がベストセラーとなり、特に中国の南極観測の拠点として利用されるタスマニア州の実体が紹介されていました。留学生でも住民であれば選挙権が与えられるタスマニア州では、中国系移民が立候補した市会議員選挙のため、有力者が所有する使用されていないアパートの同じ住所に中国からの留学生が複数人同居したことにされて選挙権が与えられているけれども、調べに行くと誰も住んでいなかったことなどが紹介されます。言ってみれば「静かなる侵略」というよりも「合法的侵略」と表現した方が近いかも知れません。入管法の改正で労働者を10万単位で受け入れようとしている日本に最も多く集まるのは現在の状態からも中国系の人達であることは明らかで、オーストラリアの現在が今後の日本にも当てはまる(特に沖縄や離島など)事が憂慮されタイムリーな番組でした。

コメント
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