rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

世界AIDSデーと日本、近隣国のHIV感染

2008-12-10 23:39:28 | 社会
12月1日は20回目の世界AIDSデーでした。日本ではあまり大きく取り上げられませんでしたが、アフリカ諸国などに比べて数は少ないものの日本は先進国の中では感染者が増加している国の一つだそうです。私はAIDSの専門家ではありませんが、性感染症は扱いますし、興味のある分野でもありますので備忘録の意味も含めて少しまとめてみました。

言葉の定義として重要なのはHIV感染者とAIDS患者の違いでして、HIVに感染した上で免疫低下による何らかの病態を発症して初めてAIDS患者と認定されます。しかし感染が明らかな段階で治療および他者への感染予防は必要になります。一般の方向けの解りやすい資料としてはYWCAが発行している資料(http://www.ywca.or.jp/image/AIDS2008.pdf)は良いと思いました。

日本のHIV感染の動向としては厚労省AIDS動向委員会の07年の報告が参考になります(http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/07nenpo/gaiyou.pdf)。その中でいくつかの項目について日本のHIV感染の特徴を以下に取り出してみました。

1)HIV感染者およびAIDS患者報告数の推移(http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/2250.html)
特徴は年々日本人男性の感染者が増加していること(AIDS患者を含む感染者が1,500名中1,274名)、日本に在住する外国人の比率に比較して外国籍の感染者数が多いこと(約1割)、日本人の女性感染者と外国籍女性の感染者数がほぼ同数であること(日本人女性の計が60名と少ない一方比率的に外国籍女性の感染計が56名と多いということ)。

2)07年末の累計感染経路集計(http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/07nenpo/hyo_02.pdf)
特徴は日本人については同性(男性)間の接触による感染が50%を超えている一方で外国籍の感染者は異性間接触による感染が50%以上あること。(女性については日本人外国籍の者ともに異性間接触による感染が殆ど)

3)国籍別年齢別感染者推移(http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/07nenpo/hyo_06_02.pdf)
特徴は日本人男性はバブルの頃30前後だった人が歳を経ても感染している人数が多いこと、(20台や50台以降の人もいますが)、日本人女性は90年台も2000年以降も20台から30台前半に感染者が多いこと、外国籍の感染者は男女ともに常に20台から30台前半に多いこと。

これらの結果から言えることは、日本人男性は圧倒的に同性愛者による感染蔓延が原因である一方で異性間接触による感染も増加していて特に女性の感染は異性間によるものであってその原因は男性にあると言えましょう。外国籍の感染者は旅行者であるはずはないので、何らかの形で日本に住み国内に今後感染を広める可能性があると言えますのでしっかり治療と感染予防をしてもらう必要があります。また外国籍の人の感染保有率は明らかに高いことから新たな感染者の国内への導入を防ぐことを真剣に考えないといけません。

人口あたりの都道府県別感染率は東京、長野、茨城の順に多いようですが、長野茨城はまんべんなく多いのではなく、岐阜よりと軽井沢近辺の一部、茨城南部の一部に集中して多いと言われています。

AIDS感染率はタイや東南アジア諸国に多いこと統計上明らかですが、日本への出入りの多い隣国の状況についても一応調べました。

韓国:数は少ないものの増加の傾向は同様です。しかし日本と異なり異性間接触による感染が多いようです。(http://www.jcie.org/researchpdfs/RisingTide/rok.pdf)気になる記述としては、HIVと直接関連はないのですが韓国のcommercial sex workersの総人口が514,000人から120万人の間であると記載されていること。総人口が5千万人として半分の2500万が女性、その半分がsexually activeと考えると韓国人の20人から10人に一人がcommercial sex workerになってしまうのですが。出展(Goh Unyoung. 2001. “Epidemiological Characteristics, Estimation and Prediction of HIV/AIDS Epidemic in Korea.” Dissertation prepared at Hanyang University Graduate School. (In Korean))

中国:中国は人口も多く正確な数字は把握できないと報告されていますが、増加傾向は同様で特にsex workerにおける感染の蔓延が懸念されています。(http://www.avert.org/aidschina.htm)sex workerが1000万人いて、そのうち12万7千人がHIV陽性と考えられていると報告されています。

中国韓国に気軽に旅行をして羽目を外すということも今後は十分気をつけた方が良さそうです。また国内のアジア系何とかパブのような所も外国では異性間接触による感染が多い背景を考えると十分気をつけないといけません。

日本は幸いHIV感染大国ではありませんがその分国民の関心も低く、普通の性感染症患者が増加している若年層に今後HIV感染者の増加が懸念されます。行き過ぎた性教育や性否定教育は考えものですが、性交渉のないプラトニックな付き合いは「ダサイ」といった風潮は好ましくないと言えるでしょう。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 外交はタイミング(2) | トップ | 左翼と右翼の定義:何故イン... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

社会」カテゴリの最新記事