rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

新型コロナ・オミクロンBA.5流行とワクチンの効果

2022-07-25 18:47:57 | 医療

しばらく新型コロナ感染症の話題についてはブログで取り上げてきませんでした。それは2020年の3月の時点で、私が科学的事実に基づいて判断した様に「新型コロナで人類は滅びることはない」「豚インフルエンザと同様にある程度皆が感染して集団免疫を持つことが収束につながる」という結論が揺るぎない事実だと既に証明されたからです。mRNAワクチンという人類が使用したことも、それで感染症を抑えたこともない「未知のワクチンの危険性」について警鐘を発しましたが、それについても正しいという結論が出ています。だから結論の出ている話題について、ニュースの度にブログで取り上げる必要もないと感じていました。異論を感ずる方もおられるかも知れませんが、封じ込めで一時世界の手本の様に持ち上げられたニュージーランドやオーストラリアは現在人口あたりの感染率、死亡率共に日本を大きく上回り、世界でもトップになっています。

(引用開始)

 【ウェリントン・ロイター=共同】ニュージーランド保健省は22日、16日までの1週間に死亡した新型コロナウイルスの感染者が151人に上り、死亡率が過去最高水準となったことを明らかにした。過去24時間では26人が亡くなり、全員60歳以上だった。

(引用終了)

100万人あたりの新規コロナ感染者数(左)と死者数(右)ニュージーランド(青)オーストラリア(緑)は日本(茶)と比べても現在ダントツに多い。

 

I.  今までで一番大きい第七波

 

初期の武漢株から始まって、α、デルタ、オミクロン(BA1.2)など変異株が流行する度に感染力が強くなり、反比例するように毒性は弱まってきました。感染力が強いと言う意味は、宿主細胞へ侵入しやすく、宿主細胞内での増殖が速いという事であり、侵入経路に近い所、経気道的であれば咽頭や上気道で感染して増殖するという事です。結果、潜伏期間は短くなり、宿主の免疫反応も侵入経路に近い所で起こるので肺の奥深くで重篤な免疫反応が起きて呼吸不全や肺臓炎といった重篤な症状を呈さずに回復に向かう事になります。BA.5株というのはいままでより一層感染力が高いということなので、潜伏期間もインフルエンザの様に1-3日症状も軽く、重傷者が少ない傾向にあります。一気に患者が増加して急速に収束するという経過を辿ることも、今まで経験してきた通りでしょう。この勢いで患者数が増加すれば、8月初旬には収束に向かいます。

 

II.  感染、発症、重症化という言葉の医学的意味を理解しているか

 

一般の方と話をしていて感ずるのは、医学的な言葉の定義を理解していないので、説明している内容が理解できていないと思われる事です。ウイルス感染症は1)ウイルスが体内へ侵入 2)ウイルスが宿主細胞内へ侵入 3)宿主細胞内でウイルスが増殖 4)細胞外へ排出されて近隣の細胞に侵入増殖 5)宿主の免疫が反応 6)ウイルスの排除 という経過を辿ります。ここで「感染」とは2,3,4までの過程を言い、「発症」とは5の免疫が反応して発熱や咳など具体的な症状が出た段階を言います。新型コロナ感染症の場合、人工呼吸器が必要になる様な「重症化」とは、ウイルス感染が重度であるというよりも、宿主の免疫反応が大きすぎて宿主自体を破壊してしまう「サイトカインストーム」と呼ばれる抑制の効かない免疫反応が起きている事を意味します。だから重症コロナ感染症には「抗ウイルス剤」とステロイドや免疫反応のインターロイキン6を抑える抗体を用いて、反応しすぎた免疫を抑える薬剤を使用します。コロナの場合、エボラ出血熱の様にウイルスの毒性が強いから重症化している訳ではありません。「新型コロナウイルスで人類は滅びない」という意味が理解できたでしょうか。

左からウイルスの接触、細胞に感染して増殖し免疫が反応する発症、激しい反応による重症化と過剰な反応によるサイトカインストームの状態。

 

III.  「ワクチンは重症化を予防する」は本当だろうか

 

厚生労働省が2022年5月に発行した、新型コロナウイルス感染症「診療の手引き」7.2版という定期的に改訂される公式ガイドブックがあります。その15ページ目に「ワクチンによる重症化予防効果」と題する段落があるのですが、下に示されている内容が全てです。「米国における死亡リスクが未接種者0.3%であるのに対し、2回接種者0.08%追加接種者0.07%だった」というのが、メディアなどでしつこい程「ワクチン接種で重症化が防げる」と宣伝している論文的根拠の様です。前の段落で示した様に、新型コロナウイルス感染症の重症化の本態は「サイトカインストーム」にあります。ワクチン接種がサイトカインストームを予防した、とする論文はいくら検索をかけても出てきません。2022年1月に出された総合的レビューにおいても、ワクチンがサイトカインストーム予防に有用であるという科学的論文はないと記載されています(下図)。逆に「ワクチン接種に伴うサイトカインストーム誘発」についての論文の方はあります。

厚労省の手引きに示された「ワクチンによる重症化予防効果」についての記載(一部でなくこれが全て)。

2022年1月に雑誌Medicinaに掲載されたレビュー(黄線部にワクチンのサイトカインストーム予防の論文はないと明記)

 

iV.  腸内細菌叢による腸―肺循環が新型コロナ感染に影響か

 

詳しくは触れませんが、腸内細菌叢が免疫に与える影響が大きい事は既に常識です。同じアジア人でも日本人と中国人では腸内細菌叢の細菌分布が異なることが報告され、日本人は世界でも独特の腸内細菌叢のバイオグラムを呈しています。日本人に新型コロナ感染症の発症や重傷者が少ない事は科学的事実として認識されていますが、その理由が腸内細菌叢の独自性にある可能性も指摘されています。日本人は主に発酵により生じた水素が酢酸生成に消費される細菌叢を持っているのが独特であると言われます。これらが具体的にどのように影響しているかは明らかではないのですが、過剰な免疫反応であるサイトカインストームを制御する何等かの腸―肺循環系が明らかになる日も来るかもしれません。

日本人(JP)の腸内細菌のバイオグラムが中国(CN)や他の民族と異なるという結果

 

V.  Covid後遺症の本態

 

新型コロナ感染症に罹った人が、治ってからも息苦しさや脳に霧がかかったような症状(brain fog)に長期間悩まされる事が報告され、Long Covid症候群などと呼ばれています。またこの後遺症があるから「新型コロナ感染症は普通の風邪ではない」と言い切る人もいます。これらの後遺症発生の詳しいメカニズムは明らかではありませんが、ウイルスの細胞への侵入口である各種細胞にあるアンギオテンシン変換酵素2(ACE2)から、ウイルスが組織に侵入して増殖することで、それぞれの臓器で慢性的な炎症が継続する事が原因だろうと言われています。また毛細血管の炎症で微小循環の障害が起こり、脳などに小さい障害部位が散在して発生することも考えられています。今の所、対症療法と地道なリハビリテーションしか有効な手はないと言われています。ワクチンがLong Covidの予防になるか、という問題については、残念ながら2022年5月のNature newsで大規模研究によっても僅かな効果しか期待できないと結論づけられています。

コロナ感染症に続く各部位の後遺症を示す図と、ワクチンはあまり後遺症予防に効果がないとするNatureの記事。

 

テレビなどに出演する専門家の方達は、多くの科学的知見が報告されてきているのですから、正しい知識をメディアで広めてくれることを大いに期待します。

コメント (4)
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