Junkers Ju52は第二次大戦中のドイツの輸送機で、派生型を含めて5,000機が1955年まで作られました。1932年に生産型となる3発エンジンを搭載したJu52/3mが発売され、ルフトハンザ航空を初めとする欧州、南米の国々に丈夫さや使い易さから汎用されるようになりました。その特徴はJunkers構造とも言われる中空翼と波状鋼板を多用した構造で、軽いジュラルミンの薄板を波状に形成して縦横に組み合わせ、重量約10tで660馬力x3のエンジンで巡航速度300km、航続距離は1,300kmでした。当時の技術の粋を集めた飛行機であり、ミュンヘンにあるドイツ技術博物館でも実機が展示されていて、中にも入れるようになっています。
ミュンヘンのドイツ技術博物館を訪れた際に撮った実機(これはフランス製らしい) 思い入れのある「空軍大戦略」のシーンの様な風景にしてみた。
同機の思い出と言えば、何と言っても1969年の映画「空軍大戦略」(Battle of Britain)の導入部で当時飛行可能であったJu52を使って多数の本物のハインケル111(全てスペイン空軍で実用されていた)を並べて撮影された映像が忘れ難く、私も両機を並べて写真を撮ってしまいました。
空軍大戦略の冒頭シーン
KP modelsは2009年にチェコのKPを買収して航空機のモデルを販売しているハンガリーの会社で、ややメジャーでない渋い航空機のモデルを作っていますが、このJunkers52はフランスのHellerの金型を使っていてかなり精度が良く、OEM生産していたものにデカールなど付けて新しくした物のようです。Ju52の特徴である機体の波板構造や、翼後縁全体を二重にエルロンやフラップを加えた様な二重翼と呼ばれる構造など忠実に再現されています。翼のエンジン後方にある操縦席から見るオイルゲージと燃料計も再現されていて芸が細かいと思いました。モデルで再現された繊細な波板構造を活かしたかったので塗装はダークグリーンとブラックグリーン、下面ライトブルーの標準的なスプレー塗装にしましたが、マスキングはやや面倒でした(そこが作る楽しみですが)。
金型はHeller製で、モデルとして特徴的な波板構造や二重翼が良く再現されている。デカールも軟化剤を使うと波状に貼れて良い。