rakitarouのきままな日常

人間様の虐待で小猫の時に隻眼になったrakitarouの名を借りて政治・医療・歴史その他人間界のもやもやを語ります。

Diana Krall とMichel Camilo

2009-05-14 00:40:48 | 音楽
天はニ物を与えずと言いますが、Diana Krall(nativeの人はダイアナ・クロールと発音してました)は歌良し、ピアノ良し、ビジュアルも最高とジャズ界には珍しいスターと言えます。始めて見たのは秋葉の石丸電気レコード館でえらいかっこいい御姐さんのレコードジャケットがあるなあと思ったのが2002年に全米一位になった”Look of Love”でアンサンブルをバックにしっとりと良い感じで謳っていたのを試聴して「この綺麗な御姐さんが謳っているのか」と買ってしまい、01年の冬にパリのオリンピア劇場で行われたライブ版のDVDもビジュアル系のエレガントさから迷わず購入、CDのLive in Parisに入っている曲よりもライブ版DVDの方が内容が濃く劇場の雰囲気も良く伝わっていると思いました。
パリが似合うエレガントさがあって、ヤンキー娘ではなさそうな雰囲気だったのですが、やはり生まれはカナダでジャズ界の登竜門とも言えるバークリー音楽院で学んでから若くしてNYやロスで活躍を始めたと公式サイトにも書いてありました。「解りやすい綺麗な英語で謳うなあ」というのも好印象。”Look of Love”や新しいアルバムの”Quite Nights”は売れ線のアンサンブルをバックにして親しみやすい曲で押してますが、ライブの雰囲気を見るとEast of the Sunみたいな曲をピアノを奏でながら自由に謳う方が本当は好きなのかなという感じもします。まだ四十三歳ですからこれからも長く活躍が期待できます。

Michel Camiloは不覚にも最近存在を知ったのですが、一見中南米の麻薬カルテルの中ボスみたいな感じなのに奏でる曲はパワフルでしかも超絶技巧。エネルギッシュなラテン系の曲も良いのですがスローバラードがまた良い。ホワイトハウスの庭でクリントン大統領の前で演奏した”Caribe”はYou tubeでも公式サイトでも見れますがまさに鬼気迫る演奏で終わると同時に大統領がスタンディングオベーションしているのが写っています。
私が特に感心したのは本人の飛び抜けた才能や技術も去る事ながら、共演しているミュージシャンを際立たせる力を持っていることです。自由に弾いているようで彼はかなり厳しい人であるし完璧主義者と見ました。共演者の彼を見る目が真剣というか、その彼が共演者に返す視線でぐっとアンサンブルの完成度が高まってゆくような印象があります。
1954年ドミニカ共和国生まれで16歳ですでにnational symphony orchestraのメンバーになっていたというのですからその音楽とピアノの才能は尋常ではないでしょう。20台でジュリアード音楽院からジャズの道に入ってレコードデビュー、30台で所属していたnational symphony orchestraの指揮者になるという正統派クラシックでも一流ということです。現在大学でも教鞭を取る才子だそうですが、2003年に出されたNYのBlue noteでのlive albumがあらゆるジャンルの曲が集大成のように至玉の演奏で詰め込まれていて私は一番良いと思います(Best Latin Jazz Grammy獲得)。以前Tom Scottの時に書いたように小さな店ながらNYのBlue Noteで演奏することはジャズマンにとっては特別な気合いがはいるものなのだなと感じます。

そのMichel Camiloが四月初旬に日本のblue noteで演奏していたのを最近知ってちょうど多忙でいずれにしても行けなかったものの、惜しい事をしたと後悔しております。私は自分にない才能や力を持っている人は素直に尊敬してしまうのですが、Diana KrallもMichel Camiloも文句なく尊敬しております。
コメント
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