Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

BICT2015@Columbia Univ.

2015-12-12 01:09:49 | Weblog
12月3~5日、NY のコロンビア大学で開かれた Bio-inspired Information & Communications Technologies (BICT) と呼ばれた会議に参加した。Bio-inspired、すなわち生物(学)に発想を得てコンピュータ・サイエンスを発展させよう、という趣旨の会議のようであった。



「会議のよう」などと書くとよくわかっていないようだが、実際、よくわかっていない。招待講演では、粘菌を使った最適化や、兵隊蟻が橋を作るメカニズムの数理モデルなどが語られていた。最初に生物の不思議なふるまいの動画が流されるが、そこまでしかついていけない。

Bio-inspired といわれて想像するのは、遺伝アルゴリズムのような進化計算手法である。だが、この学会で扱われているのは、それに限らず、より広範な生物界のメカニズムである。それらはいずれアルゴリズムその他として、実用化されるのだろう。素晴らしいことである。

自分の発表した Complex Adaptive Systems というセッションは、日本から参加したエージェントベース・モデリングの研究者が中心で、そこだけが自分にとって棲息可能なニッチとなった。そこではたとえば、災害時の避難、複数のドローンの制御といった問題が扱われていた。

私は Simulating C2C Interaction in a B2B Financial Service Business by Empirical Agent-Based Modeling と題する、7月の Frontiers in Service での発表の発展版を発表した。顧客間でサービス経験が伝播したとき、関係者の利得がどう変化し得るかを分析するものだ。

この研究は、JST-RISTEX のプロジェクトの一環として行われてきた。そのプロジェクトはすでに最終報告書を提出し、あとは対外発表を行う期間に入っている。今後はここで報告した内容を含め、論文にしてどこかに発表することになろうが、どこにするかは決まっていない。

BICT は、主催者にも参加者にも日本人研究者が多く、こじんまりとしていい感じの会議であった。ただ、あなたの専門は?と聴かれて「マーケティング」と答えると、「えっ!」と驚かれるという環境でもあった。

もっと若くて、かつ頭脳明晰・博覧強記だったら、Bio-inspired Model of Marketing を考えることができたかもしれないが・・・