Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

精神科医の目から見た広島カープ論

2015-12-03 01:05:51 | Weblog
和田秀樹氏といえば、精神科医としてメンタルヘルスに関する啓蒙書を多数著し、受験勉強の指南書も多く執筆されてきた有名人だ。灘高から東大理三に進み、海外留学まで経験するという絵に描いたようなエリートだ。そんな和田氏は、実は筋金入りの広島カープファンであった。

和田氏は広島、あるいはその近辺に住んだことはない。東京と大阪で幼少期を送り、それぞれの地元で応援されている巨人と阪神を嫌いになり、大洋ファンになったが、別当薫がカープの監督になったのを機にカープファンになった。それ以来40年間、カープを応援し続けている。

精神科医が語る熱狂の広島カープ論
和田秀樹
文芸社

そんな著者の熱いカープ愛が綴られたのが本書である。なぜカープを応援し続けるのか。それは、現代の日本社会から失われつつある、古き良き美徳がそこに息づいているからだという。地域社会との密着しかり、家族主義的な経営しかり、おカネ第一ではない行動原理しかり。

では、著者はカープの経営を絶賛しているのだろうか。そうではない。球団のガバナンスについて、最後に厳しい批判が書かれている。それがどこまで事実に基づいているのか、私には知る由もないが、長年のファンであるが故の不満は、著者一人のものでないことは確かである。

現在のカープ人気が続いているうちに、失われた25年を取り戻す変化が起きることを願うのみだ。