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Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

明日はわが身の解雇・失業

2012-11-24 10:54:13 | Weblog
「人ごとではない。明日はわが身の解雇・失業」「普通解雇がフツーの時代に突入したニッポン」... 先週に発売された週刊東洋経済11/17号の表紙にはこんな文字が躍っている。遅ればせながら一読し,いまさらといわれかねないが,進行する厳しい雇用情勢を再認識する。

リストラによる退職勧奨はいまに始まったことではないが,記事で紹介される有名企業の事例からも,雇用者側がより強気になっていることが窺える。その背景には,最近下された東京地裁の判決があるという。それによって退職勧奨を繰り返すことにお墨付きを得たのだと。

日本は解雇規制が厳しいといわれているが,退職勧奨や配置転換の制限は緩い。そこを突いて人員整理が進められている。労働者から見るととんでもないことだが,厳しい競争に直面している企業からすれば,能力が陳腐化した社員を雇い続けることは受け入れがたいだろう。

週刊 東洋経済 2012年 11/17号 [雑誌]
東洋経済新報社

この特集では,後半はいかにリストラから自分を守るか,リストラされたらどうすべきかといったノウハウ編になる。他方で,政策論として東京大学・柳川範之教授が提案する「40歳定年制」が紹介されている。能力を再構築して第2の人生へ軟着陸させるというアイデアである。

40歳定年制は雇用がなし崩し的に流動化することに比べよい案のように思えるが,業種や企業によっては,最低20年の雇用を保証ことすらリスキーだろう。イノベーションが活発な領域で能力が20年間陳腐化しないのか,さらに中高年になって能力を新たに構築することが可能なのか?

もう1つの政策は,本特集でも紹介されているが,デンマークなど北欧諸国のように,解雇をしやすくして企業の競争力を強化する一方で,政府の役割として失業手当や能力開発・再就職支援を充実させることだろう。これを flexicurity (flexibility + security)と呼ぶという。

40歳定年制にしろフレキシキュリティにしろ,能力の再構築が可能かどうかが鍵を握る。少子化時代を迎えた大学にとって,それは新たな事業機会になるかもしれない。だが,そのとき教員の能力の再構築が重要な課題になるに違いない。それは誰が,どのように行うのだろうか?