Mizuno on Marketing

あるマーケティング研究者の思考と行動

SXSW オースティンの変

2012-04-28 11:14:17 | Weblog
昨夜はアップルストア銀座で開かれた「「WIRED大学 特別公開講座」 ジャパニーズスタートアップ~SXSWオースティンの変」というイベントに参加した。WIRED編集部の小谷知也氏と頓智ドットの井口尊仁氏の掛け合いで SXSW2012 の様子が紹介される。で,SXSW って何だ?

SXSW というのはテキサス州オースティンで毎年開かれる音楽・映画・インタラクティブのカンファレンスである。South BY South West と読む。1986年に音楽業界のイベントとして始まったが,その後映画が加わり,最近はインタラクティブ分野の成長が著しいという。

井口氏が 3.11 の直後に参加したとき,現地であっという間に支援体制が立ち上がった。そのお礼として,日本のスタートアップたちを千人連れて行くことを目指した。結果的には2百人強の参加に留まったが,それでもすごい規模だ。その目的は見学ではなくプレゼンや商談である。

ブースでの展示以外に「ピッチ」といわれる数分のプレゼンもある。厳しい選抜を経てピッチに出るという栄誉に浴した Compath.me の安藤拓道氏も登場。WIRED Vol.3 の「日本のザッカーバーグは誰だ!?」という特集では,安藤氏を含む SXSW への参加者たちが紹介されている。

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有力な投資家たちが居並ぶ SXSW でのピッチに成功すると,巨額の投資資金が流れ込む。そこで重要なのは「世界を変える」クレージーさだという。だからグーグルにしろフォースクエアにしろ,ある意味でおバカな展示をして自らのクリエイティビティを誇示している。

ちなみにサムスンは SXSW に積極的に関わり,会場で存在感を示している。アップルは企業としては関っていないが,参加者のほとんどが MacBookAir,iPhone,iPad を使っているという存在感がある。音楽+映像+インタラクティブというのはまさにアップルの世界だ。

日本企業はスタートアップを除くと全く存在感がないかというと,そうでもないようだ。電通アメリカが SXSW でかなり有名な賞をとったが,日本ではあまり伝わっていないと,井口氏は残念がっておられた。日本には世界に目を向けた優れた才能がそれなりに存在する。

オースティンはリチャード・フロリダによれば米国で最もクリエイティブな地域である。SXSW はそれを象徴するイベントだといえる。日本での同種のイベントに,博多の「明星和楽」があるという。博多は日本のオースティンになるのか?次回は行ってみたいな・・・。

クリエイティブ資本論
―新たな経済階級の台頭
リチャード・フロリダ
ダイヤモンド社