HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

もぐらに捧ぐ、でも読んでいなかった

2012-03-15 21:03:26 | ROCK

     
マッチング・モールが残した2枚のスタジオ・アルバムが2枚組のエクスパンデッド・エディションとして発売された。
2000年初頭には「SMOKE SIGNALS」「MARCH」と、立て続けに未発表ライブ盤がリリースされ、
活動期間の短かったグループの貴重な音源の発掘に喜んだものだが、今回の2枚組も面白い。

特に1枚目の「MATCHING MOLE」は、1STアルバム録音の為のセッションを多く聴くことができる。
即興の割合の高いライブとは少々違った形での、スタジオ・テイクというのは実に興味深い。
過去の名盤の拡大盤が出る際は、個人的にはライブよりもスタジオ・アウトテイクが収録されるほうが嬉しいのだが
この拡大盤では、それらをたっぷりと聴くことができる。『PART OF THE DANCE』はテイク1と、20分を
超えるジャム・バージョンの2つが収録されていて、この曲が好きな私は「曲を纏めるとは、或いは曲を
拡大させるとは、どういうことか?。」なんてことをニヤけながら考えようとするのだが、どうにも酔っ払っていて
上手くいかない。(笑)

名曲『O CAROLINE』のシングル・バージョンというのも滅多に聴くことができないだろうから、シングルのB面
共々収録されたのも気が利いている。アルバム冒頭を飾るこの曲は「DAVIDがピアノで、僕がドラムを
演奏し、僕たちは音楽を創って楽しむ」という歌いだしで始まる。ロバート・ワイアットとデヴィッド・シンクレアの
出会いがマッチング・モールの始まりそのものだったことが容易に判る歌であるが、アルバム完成後の
ライブでは二人の考え方の相違がすぐに鮮明になり、デヴィッドはバンドを抜ける。

ソフト・マシーンの窮屈さに嫌気がさしたワイアットが、ライブでより自由な演奏を試みるのは必然だったのだが
歌を重視した当時のシンクレアがバンドから抜けたことで、この名曲がライブのレパートリーから外されたと
したら、何とも勿体ないというか残念な気がする。

2枚目の「LITTLE RED RECORD」は1枚目より即興性の強いアルバムなのだが、内容以前にアルバム・
ジャケットが強烈だ。「ロング・ムーヴメンツ」に、このジャケットの元になった中国のポスターが掲載されていたが
今回のCDにも、その写真が載っている。細かいところまで、よく似せているものだ。(笑)

   これは94年に出たBBCライブで、現在はあまり見ることが
できないCDなのだが、今回の拡大盤には、この音源が丸まる収録されているので94年盤を未所持の方は
人心地つけるのではないだろうか。こちらの拡大盤もスタジオ・アウトテイクが収録されてるのが嬉しい。

ここから先は歴史の事実である。
72年というたった1年の間に2枚のアルバムを発表し、マッチング・モールは解散する。
翌73年春、マッチング・モール再編の動きがあったが、6月の事故で全ての計画が白紙になりワイアットは
ソロ活動へとシフト・チェンジを余儀なくされる。

不幸な出来事があったのも事実なら、事故が起こる前のワイアットの活動と事故後の活動は内容こそ違えど
何れも素晴らしい成果を多く残しているのも事実。当たり前だが、歴史の「たら、れば」を今更のように言っても
何も変わらないのだから、幸運にも世に出て耳にすることが出来た音源の数々を目いっぱい楽しむのが
一番正しい接し方かもしれない。

追記

   94年に出たBBCライブって、06年に出た
「ON THE RADIO」に全て含まれていたのを、すっかり忘れていました。(笑)


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