HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

☆☆☆☆☆☆☆

2012-03-04 00:08:46 | JAZZ

ロックのレコードを買うにあたって、参考にしたディスコグラフィー本やガイドブックの類は
それこそ何冊買ったか覚えていない。とにかくレコードを買い始めた最初の頃は、アルバムのジャケットが
見られるだけで嬉しかったし、ある程度の知識や選択能力が身についてからは、監修者や
特集の内容を見極めて買ったものだ。

さて、「門外漢が聴くジャズ」であるが、今までにジャズのアルバムを買うために後付けを含めて参考にした本は
4冊で今も手元にある。大学生の頃にSJ誌が出したB5版の結構厚目のガイド本を買ったことが
あるのだが、当時の私は「やっぱりロックのほうが俺向きだ。」なんてことを強く思っていたこともあって
結局その本は何の参考にすることもなく、棚の肥やしになることもなく、社会人になって引越しをする際に
捨ててしまった。

ロックであろうとなんであろうと構わないのだが、私が最初に買ったガイドブックが掲載写真の本。
奥付をみると昭和57年3月20日第一刷とある、その本は「THE ROLLING STONE RECORD GUIDE」。
ローリング・ストーンズが好きだから、惑わされて購入したわけではない。(笑)
私が通った高校の正門の真ん前に本屋があった。一応進学校だったので結構面倒くさい(笑)本を
多く品揃えしていた本屋だった。そこにあった赤い表紙の本が目に留まり、パラパラとめくるうちに
余りに知らないミュージシャンの名前が多くて「これは今から相当聴かなければならないな。」と思い始めると
どうしてもこの本が欲しくなり、その月は1枚のレコードも買えないことを覚悟して買ったものだ。
定価は2900円。

今読み返すと、選者の感性の違いで不当に高かったり低かったりする評価があるのが面白いが、
情報の少ない当時は、この本にかなり被れ、またかなり参考にした。全てのアルバムを星印で評価し、
■(無価値)もしくは☆の数(1から5)で、アルバムはランク付けされている。
因みに名盤の誉れ高いビーチ・ボーイズの「PET SOUNDS」は☆☆☆、ビートルズの「SGT. PEPPER'S
LONELY HEARTS CLUB BAND」は☆☆☆☆である。(笑)まあ、今ならこういう星取表にはならないだろう。
因みに私が星をつけるなら、前者は星5つ後者は星3つといったところか。まあ、気にしないでほしい。(笑)

今はそんなことはしないが、20代前半頃までは買った盤の項目に線を引いていた。ロックのアルバムの
購入盤をチェックした線が万年筆で引かれているのが時代を感じさせる。(笑)
ジャズも幾つか線が引いてあるが、それは多分「いつか買おう」と思って適当に引いたもので、なんと
鉛筆で線をひいてある。で、20代の頃、この本を見ながら買った数少ない盤の一例がこれ。

  

ビリー・ホリデイはともかく、今思えばチュー・ベリーはかなり渋いか。(笑)
「ROLLING STONE RECORD GUIDE」はジャケットの掲載数が少なく、文字数がやたらと多いのだが
やはりジャケット写真が載っているというのは記憶に強く残るもので、この2枚もジャケット写真が
掲載されていた。

いい歳になって、文字を読み込んだり星の数を改めて気にしたりして守備範囲を拡げると、
こんな盤に出会えることになる。

  

アンソニー・ブラクストンの数ある面倒くさい盤の中でも、これは割と聴きやすかったし、マッコイ・タイナーも
ジャケットの魅力もさることながら、その内容に痺れた。

全てを信用するわけではないが、気が向いたときに引っ張り出して読むには、まだまだ参考になるし
時には有効なレコードをみつける手助けになるという意味でも、これからも手元に置いておくべき
本なのだろう。

えっ、本稿のタイトルは何故、星7つなのかって?。
それは、私がブランキー・ジェット・シティのファンだから。(笑)

コメント (2)
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ANOTHER KICK IN THE BALLS

2012-03-03 12:59:22 | ROCK

つまり、君はショーでも観に行こうと思ったというわけだ
広大な密室に繰り広げられる混沌の中で
ぬくぬくとしたスリルを味わうためにね

どうしたんだい?
いやにまごついているじゃないか
君が期待したものと、余りに違うというのかい?

ほとんどロジャー・ウォータースのワンマンバンドと化しつつあったピンク・フロイドが
79年にリリースした2枚組アルバム「THE WALL」は、恐ろしいアルバムだと今でも思う。

抑圧的な学校教育、戦争で父を失ったという家庭環境、成功した事実から生まれる新たな強迫観念。
自分たちを支えてくれているはずのファンやコンサートを観にくる観客への不審感。
こういった様々な要素が、アルバム2枚にぶちまけられているのだから、何度も気楽に
再生して楽しめるものではない。

「狂気」のような派手な構成でもなく、「炎」のように過剰にウェットな気分を満たしてくれもしない。
「ザ・ウォール」に収録された曲を個別の楽曲単位で抜き出すと、魅力的なメロディーを持っている曲が
それほど多くないことにも気付く。しかしながら、「ザ・ウォール」はとても魅力的だ。
単純でお気楽な人間でないなら、誰もが一度や二度は考えたことがある、自身の疎外感を
表現したアルバムなのだから。

「狂気」「炎」と続いた豪華な箱入りのコレクターズ・エディションの最後を締めくくった「ザ・ウォール」は
CD6枚、DVD1枚、更に例によって様々なおまけが収録されている。
オリジナル・アルバムとライブ盤は既発盤の、2011年リマスター。目玉は2枚のCDに収録された
ロジャーのデモと、ピンク・フロイドとしてのデモだろう。過去にブートレグで、どれほどのデモ音源を
聴くことができたかを把握していないが、ほぼ全曲に近いデモ(例えそれが断片の寄せ集めだとしても)を
聴くことができたのは、大きな喜びである。

DVDは「ザ・ウォール」をめぐる50分強のドキュメンタリーを日本語字幕付きで見ることができ、
当時のロジャーの傲慢ぶりを振り返るメンバーや、過去のエゴを冷静に分析し歴史の事実として淡々と
捉えるロジャーの発言が興味深い。80年のアールズコートでのライブの模様をほんの少しだけ
見ることができるのだが、当然ながらブートレグで出回った映像より鮮明で綺麗な映像である。
断片の寄せ集めではあるが、これらを見ると徐々にステージ上に壁が出来、最後に崩れるというコンサートの
全長版の発表を期待せずにはいらない。

ミュージシャンの仕事は過酷だ。マス・セールスを挙げることに越したことはない。一人でも多くのもとに
自分の音楽が届くことを望まないミュージシャンなんていないだろうし、そうでないなら、その仕事を
している意味がわからない。しかしながら多くの人が受け取るということは、そこにミュージシャンが望んだ
ものとは違う解釈を加える人が出てくるのも避けられない事実だ。ファンと共に共有する物のズレを
良しとしないのは、ミュージシャンのエゴかもしれないが、それを表明するのも表現の一つである。
それを好意的に受け取れるか否かは、その後の活動にもよるだろうが、自身の生い立ちから79年当時の
現状までを絡めて、全てに「イエス」と答えなかったロジャー・ウォータースとピンク・フロイドの
アーティスト・パワーを充分に感じるアルバムだと改めて感じた。

ミュージシャンの仕事は過酷だ。過去のヒット曲や観客が求めるメロディーや歌詞を、期待通りに再現
しなくてはならない。2時間のコンサートの全てがそれに割り当てられることはないとしても、大半の時間は
それに費やされる。そして、ロジャーは今も「ザ・ウォール」を再現し続けている。

ああ、僕は今とても酔っ払っている。

今の僕には麻痺した状態が、とても心地良いのです。
あの、おかしな野郎が築いた、あの壁に心ごとぶつかっていくのが
容易いことでないのは、わかっているけれど・・・。

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BEAUTY IN THE RAIN

2012-03-01 22:35:15 | 日本のロック・ポップス

今回のクールで見ているテレビ・ドラマは「ストロベリー・ナイト」「最高の人生の終わり方」「家族八景」
「孤独のグルメ」「13歳のハローワーク」「相棒」。全てハード・ディスクに録画して、空き時間や週末に
CMを飛ばして一気に見ている。列記して自分でも驚いたのだが、6つも見ていたんだ。(笑)

掲載写真はBONNIE PINKの新曲『冷たい雨』。テレビ・ドラマの主題歌だが、ドラマ自体は見ていない。
ドラマの主題歌であろうとなかろうと、BONNIE PINKの新曲なら、チェックせねばならないのが
ファンというヤツである。

一聴して今までの曲と感じが違うのは、歌詞のせいだろうか。どちらかというと女性の可愛らしい心の動きの
描写に長けているイメージが強かったのだが、今回はカップリング曲ともども、もっと力強く前向きに
現状に対峙する女性を描いている。これはドラマの内容を鑑みたものだろうし、BONNIE自身の気持ちの
在り方も反映されているであろう。実にポジティブでいいな、と思う。若い方の捉え方というのが
どういうものかは想像もつかないが、BONNIEと同年代前後の女性層には響くものがあるだろう。
それを大きな気持ちで受け止める男の図、というのも「目線がおかしいだろう。」という突っ込みを
受けそうだが、否定しない気持ちを持つことは大事だとも思う。

昨年出したアルバムは、過去の曲の再録音集であった。再録音というのは、昔の曲を録音時点の解釈で
新しい生命を与えるというものだろうが、オリジナルに思い入れがあればあるほど、「バリエーション」としか
捉えられないこともある。まあ、私だけが、そうなのかもしれないが正直なところ、新曲を渇望していたわけで
今回の新曲を聴いたら、今年こそは新曲でのスタジオ・アルバムが聴きたいと、次の欲望が湧き出てくる。(笑)
アルバムの中に、今回の新曲が収まったとき、どんな表情を見せるか、楽しみだ。

雨にうたれるBONNIEに、傘を差し出すことができる男が羨ましい。

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