渚にてが、前作から6年ぶりのアルバム「遠泳」をリリースした。
11月の話だけど。(笑)
13曲71分と、どう対峙するか聴く前から「とまどい」があり、もし期待外れ
だったら嫌だなあという不安もあった。
一聴して、しばらく考える。「これは過去の盤と比べて、どうなのだろう」と。
3回、5回と聴くうちに全ての誤解が溶けていく。ああ、単純に過去盤と比べて
聴く回数が少なかっただけの話なのだ。当たり前だけど。
10回聴いて、最早すべてが私の中での「渚にてスタンダード」。
全てが美しい。スタイルの違い云々はあるが、日本のロック・バンドの中では誰も
到達できない、真似できない幾つもある頂点の中の一つであることは間違いない。
タイトルこそ『フジオ』となっているが、山口富士夫とケヴィン・エアーズに
シンパシーを抱く歌詞に涙腺が緩み、はたまた『けものみち』で読み取れる直接的以上の
ロマンに過去を重ねる。
泳ぐのは得意ではない。
しかし、遠くまで行くには常に飛ぶことだと思っていた私の選択肢に「遠泳」が加わった。
敢えて、今年の新譜ベスト10に選ばなかった特別な1枚。
ハルモニアの「DELUXE」に映っていたのは果たして朝日なのか、それとも夕日なのか。
人生は暇つぶし、か・・・・。