掲載写真はリサ・ミラーが68年に発表したアルバム「WITHIN MYSELF」。
この写真からは想像もできないが、この時のリサは11歳(!)である。
11歳の女の子がレコードを作ることができるというのは、それなりの大人の算段が
あってのことで、彼女の母親と叔母のユニットであるルイス・シスターズがモータウンと
ライター契約をしていたところから話は始まる。モータウン傘下でのデビューも大した
話題にならず、子役スターとしての売り出しもままならなかったが、ルイス・シスターズは
どうしてもリサを売り出したかったようで、その後にA&R担当となったカンタベリー・
レーベルからシングルとアルバムを出したというのが流れである。
ルイス・シスターズが書いた曲はオーソドックスなポップスではあるが、アレンジが
当時のサイケデリックな雰囲気を醸し出す曲があったり、フランス・ギャルの持ち歌と
いってもいいような典型的なアイドル歌謡的な曲調だったりで、今の耳で聴けば
それなりに面白い。
ジェファースン・エアプレインの『WHITE RABBITT』という選曲は意外というか、
子供が歌う歌じゃないだろうなんてことも思うのだが、これはリサ自身の選曲。
貫禄十分に歌うのだが、その次のビートルズ・カバー『FOOL ON THE HILL』の
子供っぽさと比べると面白い。
冒頭に配されたルルの『TO SIR WITH LOVE』にモータウンの残り香を感じるもよし、
『MECHANILAL MAN』でのモーグ・シンセの意味不明な音を邪魔くさく思うも良し(笑)。
それにしても11歳にしては、おそるべき歌唱力だと思うのだが、この後にボーカリスト
としてのキャリアを築けなかったのは勿体ない。ここから先は大人の算段に彼女の意思も
加わってくるので、こればかりは仕方ないのだろうけど。