私が住んでいる地域も日中は暖かい日が続くようになり、ジャケットを置いて
シャツ1枚で出かけたい気分になってきた「うそつけ、出不精のくせに。」という声は
ごもっとも。それでも、休憩時間に職場の喫煙所の窓を開け、外の空気を吸い込むと
そんな気になる。「何言ってんだよ、仕事したくないだけだろ。」という声はまたまた御尤も。(笑)
掲載写真はイーヴィ・サンズが69年にリリースした彼女のデビュー・アルバム「ANY
WAY THAT YOU WANT ME」。彼女に対して予備知識があったわけではなく、
完全なジャケ買いの1枚。CDのブックレットの写真を見て、彼女がサウスポーであることや
自分でギターを弾くことを知ったくらいだなのだから。
このアルバムには自作曲は1曲しか収録されてないので、盤の雰囲気はSSW物のようで
あるが純然たる「女性シンガー」としてのアルバムと捉えるべきだろう。後に数多くの曲を
他の歌手に提供し、また雰囲気の全く異なるA.O.R.的な盤を残す人なので、それを
思えば例えこれが助走だとしても、後の展開の違いは一体何だったのだろうと思わずには
いられない。
イントロから派手にホーンを使った1曲がアルバムの流れの中では異色で目立つが、
全体的にはストリングスとアコースティック・ギター、そしてパーカッションが効果的に
使われていて、そのアレンジの妙もあってトラックの出来はサイケな雰囲気も醸し出す。
そこが私の気に入ったところなので例え歌い手が同じでも、これ以降の盤というのは
未だに少し抵抗がある。(笑)
この音つくりは共同プロデューサーに名を連ねるチップ・テイラーの貢献が大きいかも
しれない。トロッグスの『WILD THINGS』ジャニスの持ち歌『TRY』といった曲の
作者として有名だが、もうすぐCD再発される71年のソロ・アルバム「ガソリン」での
質感もこれに近いものがある。
たまたま出会ってしまった。でも私はアルバムのタイトル通り、この盤のジャケットを、
この盤の曲の歌唱やトラックを、欲していたということになってしまうのだろう。
最近は自転車に乗った綺麗なお姉さんというのには、お目にかからなくなったなぁ。(笑)