今年のRSDも様々なブツがリリースされ、様々な話題を呼んでいる。
限定リリースのブツばかりなので、熱心なファンが頑張って入手して大事に聴いて
所持する、なんて牧歌的な考え方と自身のレコード収集家・愛好家としての理想を
打ち砕かれたポール・ウェラーの「もうRSDにレコードはリリースしない」なんて
発言もあったし。ポールさん、私も2年連続で貴方のレコードを入手できませんでした。(笑)
掲載写真はウェイン・クレイマーがリリースしたアルバム「LEXINGTON」。
なんでもウェイン初のジャズ・アルバムだそうで。アナログ盤のみの発売はいいのだけど
何で今更ジャズ・アルバムなの?と思ったのは事実。面倒くさい盤ならイヤだなあと
当初は静観していたが、限定1000枚のリリースで、そのうえウェインのサイン入りと
いう情報を入手したら、いてもたってもいられなくなり入手を決意。
果たして、その内容は・・・。
いやぁ、全く危惧することはなかった。MC5時代からサン・ラやコルトレーン、アイラーに
シェップといった人たちを聴き、フリー・ジャズの人たちとのセッションも行っていた
ウェインである。今回の録音の面子がジャズ・メンというだけであってウェインは自由に音楽を
楽しんでいるようで、楽曲もアレンジも面白い。
ホーンをユニゾンで重ねたビッグ・バンドのような音があったり、ハード・ドライヴィンな
ギターが鳴る曲、テーマの後は主役をピアノに任せる曲、ミュートしたトランペットとギターの
対比が美しい曲、と全く退屈しない構成でアッという間にLP1枚を聴き終えてしまった。
さて、実際にアルバムにはウェインのサインが大きくマジックで書かれてあり、手書きで
シリアル・ナンバーも書いてあった。因みに私の盤は397/1000であった。
レキシントンなんていうと、単に地名である以上にジャズ・ファン(私ではない)の中には
ブルーノートの所在地あるいは1500番台のレーベルを想起して身を乗り出す人もいるだろう。
そんな人が聴きそうもない、このアルバムを私は大いに気に入った。
RSDで最初にアナログ盤で出たものは後にCD化されることが多い。
ドアーズのベスト盤はCDで買うことにしたのだが、このウェインの盤も早くCD化されて
多くの人の耳に届けばいいと思う。ちなみに今回のLPには格好いいデザインの
アクセスコードが記されたカードが入っていて音源をダウンロードしてパソコンで聴けるようにも
なっている。