57年の『バナナ・ボート』のデビュー・ヒットとともに登場した浜村美智子。
私が浜村のことを知ったのは、まだミュージック・マガジンを読んでいた頃だから、
20年くらい前になるだろうか。音楽はともかく、そのルックスに釘付けになったのだ。
往年の名女優とかモデルとかの写真を今見ると、時代を感じさせるというか、人の
顔立ちというのはメイクのやり方や流行も含めて、変わってきていることを痛感させられことが
多いが、浜村の往年の写真を見ると現在でも十分通用するルックスであるのに驚く。
当時の浜村をテレビやグラビアで見た人は、その美貌に驚いたのではないだろうか。
ヌードも披露していたのだから、その衝撃度は想像を絶する。
掲載写真は03年に出た25曲入りの編集盤CD「カリプソ娘」。
「ファドの次はカリプソかよ」と言わないでいただきたい。(笑)レゲエ前史というか、その源流の
一筋にも通じるジャンルであると思うが、私が「カリプソ」といわれてすぐに頭に思いうかぶのは
スティール・ドラムの音だったりするから、とてもその本筋を理解しているとはいえない。
もっとも、日本でもハリー・ベラフォンテ経由の輸入であるから、リズムの解釈の了解は
あったとしても雰囲気一発の気分の方が大きかったはずだ。元々はあらゆる事象を歌にする
コミュニケーション・ツールであった「カリプソ」であるからか、そういう側面を抜きだせば
このCDに収録された『カリプソ娘』の歌詞はカリプソと呼ぶに相応しい歌詞かもしれない。
このCDでは浜村が様々なスタイルを表現豊かに歌いこなしたことがわかる。
「カリプソ」だけでなく、ワンダ・ジャクスンもびっくりのドスの効いた『監獄ロック』や、本人は
嫌がったとあるが大阪弁の台詞の挿入が面白い『パラダイス』とか、聴きどころは多い。
このCDの最大の売りというか、価値を高めるのは61年に8曲入り10インチでリリースされた
「夜のラテン」を全曲初CD化したということだろう。当時のライナーにある「ほとんどの曲で
電気オルガンを使って一貫した流れを狙った」「同じリズムのくり返しに依る切れ目のない
充実感で歌の土台にした」という編曲者の言葉にあるように、「夜のラテン」で聴くことが
できる曲のリズムやアレンジは面白い。ジャンプ・ナンバーこそないものの、アルバムの
タイトル通りの大人の夜のアルバムであることを強く印象付ける。
10インチ収録の8曲の中には『タブー』と『ハーレム・ノクターン』がある。何というか、
この2曲を美人の女性が歌うというだけで、私は痺れてしまう。
当時の映像を集めたDVDとか出ないかなあ。(笑)