エルトン・ジョンというミュージシャンを継続的に熱心に聴いてはいないのだが、80年代
中頃くらいまでのアルバムは、それなりに揃えている。大多数の人はエルトンの名盤と
言われれば、すぐに「GOOD BYE YELLOW BRICK ROAD」を思い浮かべるのだろうが、
私もそんな一人で、この盤は別格扱いでよく聴いた。そんなアルバムの40周年記念の
豪華ボックスがリリースされた。
装丁は大袈裟なものではなく、昨年リリースされたイーグルスのDVD「HISTORY OF
THE EAGLES」と同じような感じである。中には4枚のCDと1枚のDVD、そして
100ページに及ぶ厚手の表紙も豪華なブックレットが収納されている。
面白いのは、この手の豪華盤が出る時の常である未発表デモやアウトテイクを集めたCDに
なんと若手ミュージシャンによるカバー曲が9曲も収録されていることである。大物の
トリビュート盤というのは多々あるが、ミュージシャン名義の箱物に他のミュージシャンの
演奏を9曲も収録するというのは、熱心なエルトンのファンからすれば首をかしげることに
なるかもしれない。
例えば、ストーンズやザ・フーのアルバムのDXエディションに、他人のカバーが何曲も
入るのは私ならイヤだ。(笑)それなら、ストーンズやザ・フー自身の演奏によるデモや
アウトテイクをもっと聴きたいからに他ならない。
さて、エルトンの本盤の場合だが・・・。実は私はここに収録されたほとんどのカバーを
気に入っている。イメルダ・メイとかフォール・アウト・ボーイズの名前くらいしかしらないのだが
他のミュージシャンも皆、気合の入った丁寧な演奏をしていて各曲の新たなバリエーションを
生み出したといっても過言ではない。まあ、それは元の曲がよくできているからだろうし、
私がエルトンの熱心なファンでないからかもしれない。(笑)
DVDは73年のドキュメンタリーで字幕もないのだが、当時のインタビューや断片的な
ライブ・シーンを見ることができて、これはこれで貴重である。絵的に冴えない(失礼)ものの
派手なメガネや服は今見ればグラムというよりは笑いの要素もあって、これはエルトンが
得難いキャラクターであることを見事に証明している。
2枚のCDに収録された73年のハマースミス・オデオンでのライブは、その抜粋が
ブートレグにもなっていたが、ここではたっぷりと17曲を聴くことができる。
ロックンローラーとしてのエルトンを再認識するのに最適なライブであるかもしれない。
欲を言えば、やはりもうちょっとスタジオ・アウトテイクを聴きたかったが、これはこれで
企画物として楽しい箱であったというのが私の感想である。
さて、次はフーがカバーした『SATURDAY NIGHT'S ALRIGHT FOR FIGHTING』でも
引っ張り出して聴くとしますか。(笑)