HARRY’S ROCK AND ROLL VILLAGE

お気に入り音楽の紹介と戯言

言音一致の純音楽

2014-03-24 00:01:21 | 日本のロック・ポップス

掲載写真は遠藤賢司の10枚組ボックス「遠藤賢司実況録音大全第三巻」。エンケンの
濃密な歴史を回顧する大箱は3箱目で、07年の第一巻は68年から76年まで、10年の
第二巻は77年から86年までのライブ録音や自宅録音を集めていたが、今回は
87年から91年までの演奏を集めている。

エンケンの長いキャリアを振り返ると、この時期のエンケンは所謂スタジオ・レコーディングの
オリジナル・アルバムを発表していない。シングルやビデオ、ライブ盤は出しているが
スタジオ盤が無いのは不思議な感じだ。物理的・精神的様々な事柄が複雑に絡み合ったが
故の結果であろうが、その間もエンケンが残した音は濃密であったことが、今回の組物で
よくわかる。

またこの時期は遠賢バンドというトリオ形態を発明した時期でもあり、アコースティックに
演じる幽玄の世界と、ブルー・チアーもひっくり返るエレキ爆発の轟音サウンドという
両極端な演奏を楽しむことが可能になったことで、その後の聴き手の楽しみを増やした
と言える。

レコード屋泣かせで、購入者は収納場所確保に頭を悩ませたであろう、あの『史上最長寿の
ロックンローラー』のCDを買う勇気が無かった私(笑)は、件の曲はアナログ盤で買った。
その曲や『輪島の瞳』といった長尺というには、あまりにあんまりな曲が生まれた時期でもある。
自分のやりたい事が規格外になってしまうエンケンという男自身の規格外に、多くの人が
今更のように気づいた時期のライブ集であるのだから、今回の箱が充実していないわけがない。
順番なんてつけられないが、箱が我が家に届いてからすぐに9枚のCDと1枚のDVDを全て
見聴きしてしまった。本当に素晴らしい。

CD化なんて無いだろうと思っていた、94年にカセットでリリースされた『俺は寂しくなんかない』
(これも20分近くの大作曲)や、89年のソノシート『壱円玉よ永遠なれ!』がライブ録音と
いうこともあって、今回の箱でCD化されたのも嬉しい。

こういったアーカイブ集と新譜を、全く同一の気分で楽しみに待つことができるミュージシャンと
いうのは、私にはそんなに多くは無い。エンケンの次の一手が楽しみだ。

そういえば、もうすぐ消費税が上がるのだなあ。
壱円玉よ永遠なれ!。

コメント
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