今のようにインターネットが盛んでない時代、気に入ったミュージシャンの
ディスコグラフィーが気になっても容易に知ることは難しかった。ストーンズや
ビートルズの話をしているのではない。エリオット・マーフィーやガーランド・
ジェフリーズが、どれだけのアルバムを出しているのかを知ることは簡単でなかった、
という話である。
流石に今だと、ある程度の情報はネットですぐに手に入る。そして、ガーランド・
ジェフリーズは、その長いキャリアの割にリリースしたオリジナル・アルバムの数が
わずか10枚ちょっとしかないことに驚く。
掲載写真はリリースされたばかりの最新作「TRUTH SERUM」。ブルーズ色の強い
オープニングのアルバム・タイトル曲、彼のアルバムによくみられるレゲエのリズムを
使った『DRAGONS TO SLAY』など、今回も聴き処満載の好盤。
凝ったつくりではないが、誠実なアルバムであることは一聴すればすぐにわかる。
相変わらず国内盤は出ないようで残念なのだが、この硬派なロックンローラー(この
表現がお嫌いならシンガー・ソング・ライターとでも書こうか)の言葉の一つ一つを
受け止めなくてどうする、という気分なのだが、そんなことはもう20年以上も前から
思っているわけで。ガーランド・ジェフリーズやウォーレン・ジヴォンがもっと広く
聴かれていたら、もうちょっとマシな「洋楽文化」が開けたのになあと思うこともあるが
まあいい。
私がとやかく言っても、誰も耳を傾けないだろうが、ブルース・スプリングスティーンが
9月17日に自身のHPで、このアルバムを取り上げたと書けば、気にしてくれる人が
出てくれるだろうか。いや、皮肉でも何でもなく、気にしてくれる人が増えれば幸いなのだ。
秋の夜長に相応しい、硬派な男のアルバム。