メジャー・カンパニーとの契約が無いということは、「何年の間に何枚のアルバムを
作れ」とか「アルバムのプロモーションのためにツアーに出ろ」とか、ましてや「売れる
曲を書け」みたいなプレッシャーをかけられないため、ミュージシャンは余計な気を
使わなくて済む。その代り、アルバム制作における資金面で苦労するという場面は
出てくるだろう。
ジュリアナ・ハットフィールドといえば、ブレイク・ベイビーズとしての活動よりも
ソロになってから90年代に次々とポップなアルバムを出してい時期が一番印象に
残っている。一番よく聴いた「BECOME WHAT YOU ARE」から、もう20年も経って
いるのかと思うと、時の流れの速さを感じずにはいられない。
よく練られたバンド・サウンドのアルバムを出したかと思うと、アコースティック・ギター
主体の簡素な音で録音したアルバムを出したりで、とりとめのない人でもあるのだが
まさか、アルバム録音の資金繰りが難儀なために、交互にスタイルを変えてアルバムを
リリースしているなんてことはないだろう。(笑)まあ、彼女は昔から大メジャー・カンパニーと
契約し続けてきた人ではないから、両方とも彼女のスタイルなのだろうけど。
掲載写真は9月にリリースされた新作「WILD ANIMALS」。11曲で30分。自宅の
スタジオで気の向くままにアコースティック・ギターを鳴らしたアルバムで、収録時間が
短いうえに、ジャケット写真も愛想が無い。せめて08年の「HOW TO WALK AWAY」のように
たっぷりと自身の写真を使ったジャケットにしてほしかったが、何というか、この
ムラッ気(失礼)のようなところを含めて、私はジュリアナのことが好きだ。
何といっても声が可愛らしいしね。
今年は簡素なアコースティック仕様のアルバムだったが、昨年はというと・・・。
自身の名前を冠したカバー曲集だった。
ティーンエイジ・ファンクラブやリズ・フェアーのカバーに「うんうん。」と頷きつつも、
60~70年代ロック好きとしては、バッド・カンパニーやC.C.R.、ザ・フーといった
男くさいバンドの曲のカバーに耳がいく。
最高なのはレッド・ツェッペリンの『ROCK AND ROLL』のカバーだ。
ドラムレスで、エレキもほんの少しだけ。アコースティック・ギターとパーカッション中心の演奏に
自身の声を3重に重ねたハーモニーが美しい。ジュリアナ一人の多重録音によるカントリー・
フレーバー溢れる仕上がりで、曲中に何度もでてくる「LONELY LONELY LONELY TIME」の
メロディーを最後だけ変えているのが、また素敵だ。
ザ・フーのカバーはよりによって『MY WIFE』。
ああ、たまらんチャの女・・・。(意味なし)