掲載写真は、昨年リリースされたゴダイゴの8枚組DVDボックス「COLLECTORS' DVD BOX」。
先日取り上げたジュリーのDVDと同時購入。このボックスは収録された8枚のうち、2枚は以前に
DVDで、3枚(厳密には2枚と半分)はVHSで発売されていたので、ファンには賛否両論だったのだが、
いずれも未購入だった私は、ありがたく購入と相成った。
ゴダイゴの魅力とは何なのだろう。ジャンル分けとかはどうでもいいのだが、ロックをテレビもしくは
茶の間に浸透させた貢献というのは大きいだろう。日本のバンドが高度の演奏能力を嫌味なく披露し、
尚且つ英語で歌い、それが違和感なく大人から子供まで受けれられた例は、かつてなかったのでは
ないかと思う。いやいや、あれはロックじゃないよ、歌謡曲だよという物言いもあるかもしれないが
そうだとすれば、歌謡曲の演奏レベルと楽曲の完成度のレベルを、おそろしく高い位置に持っていった
ということになる。ジャンル分けはどうでもいいと先に書いたのは、どちらの言い分にも対応するためで
あるが、もっと平たく言えば、メンバーが目指した「ニュー・スタンダード」、或いは新しい基準を
作り得たことが、最大の魅力ということになろうか。
そういう私も、本当の目当ては79年の映画「マジック・カプセル」と、77年から82年までの
テレビ出演シーンの収録であった。音楽を聴くことに楽しみを覚えてから、洋楽中心の生活へ移行する
までに大きな影響を受けたバンドの一つであるので、こればかりは仕方がない。
映画「マジック・カプセル」は初めて見たのだが、尺が短いものの実に楽しい映像だった。
タイトル曲『マジック・カプセル』が、タケとミッキーのデモから完成に至るまでと、ツアーのドキュメンタリー、
ライブの様子を上手く組み合わせてあって、見応えがあった。このDVDには、他に「NTV紅白歌の
ベストテン」出演時の映像等が15曲収録されている。当時の司会は堺正章で、先日取り上げた
「夜のヒットスタジオ」の司会は井上順。おお、気が付けば彼らはスパイダースの2トップではないか。(笑)
NHKのテレビ番組出演時の映像を集めたDVDも面白い。スカパーでレッツゴーヤングの再放送を
何度か見た際に、78年の『DEAD END ~LOVE FLOWERS PROPHECY』の演奏を偶然見たのだが
録画していなかったのを残念に思っていたら、こうしてDVDになって一安心。
また、同年の『セレブレイション』では、チャーがキーボードを弾く姿を見ることができる。
07年から09年にかけて行われた「TOKYO 新創世記」全3章は、それぞれアルバム「新創世記」「DEAD
END」、そしてスタジオ録音としては未発表の「ゴダイゴ号の冒険」を中心にした、タケカワユキヒデが
脚本と演出を手がけたロック・オペラ。個人的には、ロック・バンドがオーケストラと共演してもろくなことは
ないと思っているのだが、やはりその思いは今回も変わらない。バンドの向上心や新たな分野の開拓と
いった意欲がこういう形になるのは、洋の古今東西を問わず多々あるのだが、まあ、好きなアルバムを
丸ごと違ったバリエーションで演奏してくれると思えば、それなりに楽しめないこともない。
今、敢えて穿った見方で振り返れば、やたらと「きれい」なタイアップがあったり、中国やインド、アフリカを題材に
したのが如何ようにも(つまりは、否定的ニュアンスで)捉えることができなくもないが、私にとって
そういった批判は全て後付けであり、当時の彼らの仕事の質と量には今でも驚かされる。
なんといっても、このボリュームである。時間をかけて楽しみたいと思っている。